研究課題/領域番号 |
17079006
|
研究機関 | 奈良先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
伊東 広 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 教授 (10183005)
|
研究分担者 |
水野 憲一 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 助教 (90212232)
多胡 憲治 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 助教 (20306111)
|
キーワード | シグナル伝達 / 新規分子プローブ / 薬理学 / G蛋白質 |
研究概要 |
(1) 血小板凝集の阻害剤として土壌細菌培養液から見出されたYM-254890の阻害機構の詳細を、精製G蛋白質を用いた生化学的、構造生物学的、そして変異体を用いた細胞生物学的解析から明らかにした。YM-254890はGqのαサブユニットの二つのドメインをつなぐリンカー部位に挟まれたくぼみに結合し、GDP結合体を安定化することでGDPの遊離を阻害するというまったく新しいタイプのG蛋白質阻害剤であることが判明した。このYM-254890結合部位は全てのG蛋白質αサブユニットにおいて同様なくぼみとして存在しており、G蛋白質の活性化段階で2つのドメインが離れてGDPを遊離するために必要な空間であることが示唆された。(2) 線虫のRic-8に相同する哺乳動物の2つのRic-8 (Ric-8A, Ric-8B)のうち、Ric-8AがGEFとしてG蛋白質シグナルの促進因子として働くことは先に私共の研究から示されていたが、Ric-8Bの機能はほとんど明らかとなっていなかった。本年度、Ric-8Bがアデニル酸シクラーゼを活性化するGsのαサブユニットと相互作用し、そのαサブユニットのユビキチン化を阻害することで蛋白質分解を抑制し、G蛋白質の量的制御を行うという新しいタイプのG蛋白質制御分子であることを明らかにした。(3) G蛋白質のβγサブユニットにより活性されRac-GEFとして働くP-Rex1のPKAによるリン酸化部位を3カ所同定した。そのうち650番目のセリンがリン酸化されるとG蛋白質βγサブユニットが相互作用するために必要なP-Rex1分子内のドメイン/ドメイン相互作用が阻害されG蛋白質による活性化を受けない不活性型になることをin vitroで証明した。また、実際650番目のリン酸化を特異的に認識するリン酸化ペプチド抗体を作成し、好中球における活性酸素産生の抑制と相関してこのリン酸化が起こることを明らかにした。
|