研究課題
複製チェックポイント制御機構はゲノム情報の忠実な複製を保証するために必須の機構である。複製チェックポイント制御機構の活性化は複製ストレスが生じた際、まず、複製伸長因子の一部であるMrc1、Tof1および、Csm3蛋白により複製伸長反応が抑制されることにより誘導されるが、その分子的作用機序は明らかでない。本研究の目的は、複製停止および、複製チェックポイントの活性化に必要なこれらタンパクそれぞれの機能構造及び、相互作用因子を明らかにし、何が複製異常時の直接的なシグナルとなり、これらの因子によって複製フォークは停止するのか、その結果いかなる構造がフォークに形成されチェックポイントの活性化につながるのか、さらには、チェックポイント活性化の結果、複製伸長因子の安定化はどのような分子的機構によって誘導されるのか、この一連の反応を明らかにすることにある。今年度は、以下の成果をあげた。1) Mrc1がMcm6と特異的かつ直接相互作用しこの相互作用が、MMS(メチルメタンスルホン酸)によるDNA損傷特異的に複製チェックポイントを活性化するために必要であること、2) Mrc1はリーディング鎖合成ポリメラーゼと直接相互作用し、この相互作用はヒドロキシウレアに対する複製ストレスに重要であること、3) Mrc1、Tof1、Csm3の3者がvivoでもvitroでも複合体を形成し、特にvivoでは、複製フォークにMrc1を局在させるためにTof1とCsm3の両者が必要であること、4) Ctf4がラギング鎖合成ポリメラーゼ複合体の安定化に必須であること。特にポリメラーゼαとヘリカーゼの相互作用のためにCtf4が必須であること。これらの成果により、チェックポイント因子Mrc1がヘリカーゼとリーディング鎖ポリメラーゼの、Ctf4がヘリカーゼとラギング鎖ポリメラーゼの連結因子としての役割を担っていることが示唆された。
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