研究課題
本研究は、染色体分配を制御する因子について、新規遺伝子の同定、ならびにそれら遺伝子群の機能的ネットワークの解析を網羅的に行ない、染色体分配制御機構の全体像の解明を目的とする。今年度は分裂酵母の高温感受性株ライブラリー約1,000株を用いて、染色体分配関連遺伝子を形質転換により導入し、形質転換珠のすべてについて制限温度、準制限温度における生育の促進効果、あるいは許容温度における生育の阻害効果の有無を調べた。またライブラリーの総ての遺伝子のクローン化ならびにサプレッサー遺伝子の同定を進めた。その結果これまでに見いだされていなかった多くの遺伝子間機能相互作用が同定された。昨年度はピストンの転写調節因子についてピストンH2B自身を含む機能的ネットワークが見いだされたが、今年度は機能未知の遺伝子のネットワークの解析を試みた。分列酵母の機能未知の遺伝子SPAC1F5.05と相互作用する遺伝子を用いて上記のネットワーク解析を行なった。その結果Rho3を含む他の複数のネットワークとのつながりが新たに同定された。今回同定されたネットワークのうち機能がわかっているものは細胞質分裂に関与するものが複数含まれているため、これらの解析により細胞質分裂と染色体分配の制御機構の関連の新たな局面が開ける結果であると期待できる。分担者の池野はヒト人工染色体構築系の改良、ならびにCENP-Aを中心とする動原体タンパク質の染色体分配における機能解析を進めた。分担者の北島はヒト培養細胞を用いて染色体の安定な分配を保証する接着因子Shugosinのタンパク質脱リン酸化酵素PP2Aによる制御機構の解析を進めた。
すべて 2007 2006
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