研究概要 |
染色体複製は細胞周期やクロマチン構造によって開始や進行の段階が制御されているばかりでなく、複製開始や進行過程が染色体接着や分配など重要な染色体機能を密接に関連する。平成19年度染色体複製の制御に関して以下のことを明らかにした。 1.一般にヘテロクロマチンは転写や複製が不活性とされているが、分裂酵母セントロメアと性決定領域(mat)ヘテロクロマチンでは複製開始点がS期初期に複製開始する。その分子メカニズムを解析した結果、ヘテロクロマチン蛋白質Swi6/HP1と複製に必須な蛋白質キナーゼDDKの制御サブユニットDfp1との相互作用が促進に必要であることを発見した。 2.分裂酵母染色体の後期複製開始点近傍に複製開始抑制エレメントを発見した。 3.DNAの組換えとともにDNA複製の開始にも関わる可能性があるヒトRecQL4タンパク質のヘリカーゼ活性を検出した。 4.ヒトMCM2-7タンパク質とCDC45,MCM10,クラスピン,Rb間の特異的な相互作用を見いだした。 5.ヒトMCM4/6/7ヘリカーゼの抗生物質ヘリキノマイシンに対する感受性ならびに生化学的性質を明らかにした。 6.ツメガエルAND-1/Ctf4とTim1-Tipin/Tof1-Csm3が共同して染色体接着形成に働いていることを示唆した。 7.CDK依存的GINS,Cdc45の染色体結合に必要とされるXenopus Cut5/TopBP1は非リン酸化条件でGINS,Cdc45と結合する事を見出した。 8.転写伸長に関わるFACTは転写の無い条件で複製伸長過程に必要であり、ヌクケオソーム構造の変換が複製フォークの伸長に関与する事が示唆された。
|