研究概要 |
分裂酵母の減数分裂特異的Dmc1リコンビナーゼによるDNA鎖交換反応における、Swi5-Sfr1タンパク質複合体の機能について解析し、次ぎの結果を得た。すなわち、 1、Rad51に対する正の効果以上に、Dmc1に対してはSwi5-Sfr1の活性化効果は高い。 2、その結果、RPAが結合したssDNAを用いた反応においても、十分に高い活性を示すので、Rad52タイプのリクルーター的メディエーターは不要である。 3、さらに、ポジティブ効果が期待されるRad52タイプのメディエーター(分裂酵母Rad22)の添加は、Dmc1によるDNA鎖交換反応を阻害することが示された。 4、この阻害活性は、Rad22とDmc1との直接的な相互作用がなくて、一方、Rad22とRPAが結合すること、さらに、Dmc1とRPAも直接的に結合することから、RPA-coated ssDNAに対するRad22とDmc1との競争的な結合によって観察されることが考えられた。 5、減数分裂時には、Rad22, Rad51, Dmc1が同時に存在して協力して機能発揮する。すなわち、Rad51を鎖交換に関与させるためにはRad22が必要であり、一方で、今回の結果から、Dmc1が機能するときには、Rad22を不活化する必要が予想された。今後、このようなRad22の活性制御機構の実態の解明が望まれる。
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