研究課題
細胞の増殖や分化の過程の大部分は染色体機能により制御される。また、染色体の動態の変動は、種々の疾患あるいは、生物種の進化とも密接に関連する。したがって、染色体の忠実な複製と安定な維持、あるいは、組換えや転移による変動の分子機構を理解することは、細胞の増殖、分化の基本機構を理解するために必須であるのみでなく、疾患の原因や、個体の種の多様性獲得の分子基盤を理解する上でも必須である。本申請研究では、染色体の動態を制御する分子機構について、複製、組換え、分配などが共役して統合的に制御されるメカニズムに焦点をあて、染色体機能制御機構の全体像を明らかにすることが目的である。具体的には、染色体サイクルと染色体ネットワークという2つのキーワードのもとに以下の4つの研究項目について研究をすすめた。(1)染色体の複製(2)染色体の恒常性維持と変動(3)染色体の分配(4)染色体ネットワーク。平成20年度には、11月に第三回の国際シンポジウムを開催し、成果を発表するとともに、国内外のこの分野の研究者と情報交換の場を提供した。また、9月には進行状況について詳細な討論を行うために班員全員参加の領域会議をおこなった。また9月には代表者会議を行った。また、ホームページ、サーキュラー(3回発行)を継続し、班員間の情報交換、共同研究を推進した。初年度に引き続き、複製因子、組換え因子などのゲノムワイドでの相互作用の細胞周期制御、新規複製制御因子あるいは組換え因子の同定、複製フォークにおけるタンパク質-タンパク質相互作用、リン酸化による機能制御機構、組換えの基本的分子機構の解明、Cdc7の組換え開始における新規標的の解明など多くの新しい知見がもたらされた。
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