研究課題
(1)骨格筋膜修復に対してカベオリン3とディスフェルリンが寄与することが既に報告されており、これらのタンパク質とM53の膜修復における機能共役についての解析を試みた。C2C12培養骨格筋細胞のcDNA発現実験系においては、上記3種のタンパク質の免疫共沈殿が観察され、三者の間接的な相互作用が示唆された。また、筋ジストロフィー変異カベオリン3を培養筋細胞に導入すると、MG53とディスフェルリンの細胞内局在が障害され、膜修復機能が阻害された。一方、ディスフェルリンの膜障害部位への集積は、M53欠損によりほぼ完全に抑制された。これらの実験結果は、上記3種のタンパク質が協調的に機能して、骨格筋膜修復に貢献していることを示唆する。(2)MG53欠損心室筋細胞は異常な活動電位パターンを示し、その異常は電位依存性K+電流の減弱に起因することが示唆された。心筋細胞に分布する電位依存性K+チャネルサブタイプをMG53とともにHEK細胞に共発現させると、Kv2.1特異的にMG53がK+電流を亢進した。Kv2.1は細胞膜上のみならず、細胞内膜系にも分布しており、MG53の有無により全Kv2.1含量や細胞表層のKv2.1含量の変動は確認されなかった。一方、内膜系のKv2.1は活発に輸送されており、MG53の共存によりその動態が著しく亢進することが示された。以上の結果は、MG53は細胞膜とエンドソームの膜輸送サイクルを活性化させる機能を有しており、正常状態においてある種の膜タンパク質の品質管理にも貢献している可能性が示唆された。(3)小胞体Ca2+放出時にカウンターイオンチャネルとして機能する2種のTRICサブタイプで、TRIC-Bはほぼ普遍的な臓器分布を示す。新生致死性を示すTRIC-B欠損マウスの解析を進めて、肺胞2型上皮細胞におけるサーファクタント合成と分泌の低下が明らかになった。さらなる細胞生理学的解析から、TRIC-BチャネルはCa2+放出を補助することで、2型上皮細胞の機能成熟化に不可欠であることが示された。
すべて 2009
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件)
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J.Biol.Chem. 284
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