研究概要 |
ヒトMDR1/P-gpとマウスGlutlについて、質量分析装置を用いた高感度定量法を開発した。各々の方法を用いて、ヒトMDR1発現細胞とマウス脳毛細血管内皮細胞における発現量を測定し、各々について抗ヒトMDR1モノクローナル抗体、サイトカラシンB結合法を用いて、MDR1,Glutlの発現量を定量した。その結果、両トランスポーターともに質量分析法の測定結果と既存の方法での測定結果が一致したことから、質量分析法が有用であることが検証できた。そこで、マウス脳毛細血管内皮細胞についてMdr1aとMct1の発現量を測定したところ、各々15.5±0.84fmol/μ g protein、23.7±0.87fmol/g μ proteinという値が得られた。Mdrlaについては、1分子活性をin vivoとin vitroで比較し、トランスポートソーム効果の定量的解析を進めている。一方、Mct1の発現量は想定していたよりかなり多い。Mct4にっいてはCDl47と複合体形成することが輸送機能に必須であることが報告されているが、Mct1については十分明らかにされていない。そこで、質量分析法を用いてCD147のタンパク質レベルの絶対定量法を開発した。ケトン体の脳への供給は血液中の栄養状態によって変動することから、血液脳関門におけるMct1とCD147の複合体形成とケトン体輸送活性について検討中である。 従来、トランスポーター研究のボトルネックであった輸送担体の基質探索法に関して、multi channel modeを用いて複数の基質候補を一括解析するLC/MS/MS-cocktail法を開発した。50種類の化合物を混合した系を用いて1回の輸送実験とLC/MS/MS分析でABCC4/MRP4の基質を探索することができた。
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