研究課題/領域番号 |
17081005
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
仁科 博史 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 教授 (60212122)
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研究分担者 |
中村 貴 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 助教 (80431948)
浅岡 洋一 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 助教 (10436644)
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キーワード | 細胞膜 / 細胞増殖 / 細胞死 / 細胞接着 / 細胞極性 / MAPキナーゼ / Hippoシグナル / メダカ |
研究概要 |
生体膜を介する物質の輸送は細胞のホメオスタシスの基本であり、イオンチャネルやトランスポーターといった輸送体がその中心的な役割を担っている。しかしながら、これら細胞膜に存在する分子を裏打ちする複合体が、細胞増殖、細胞死、細胞極性など多様な細胞応答に関与することは知られているが、どのようなシグナル伝達系を介して担われているかは不明な点が多い。本研究では、代表的なシグナル伝達分子の観点から、これら分子複合体の局在変化を制御する機構について、分子から個体レベルに至る様々な実験系を用いて解明することを目的とした。Hippoシグナル伝達系は、細胞の増殖やアポトーシスの制御を介してショウジョウバエの臓器の大きさの制御に必須の役割を果たすこと、魚類や哺乳類動物にも保存されていること、構成因子のいくつかは癌抑制遺伝子をして機能することが知られている。これまでに我々は、哺乳類動物のHippoシグナル伝達系を構成するRASSFICが、ストレス応答性のMAPキナーゼSAPK/JNKの持続的な活性化を誘導し、アポトーシス誘導に関与すること、哺乳類動物のHippoであるMST1がSAPK/JNKを介してアポトーシス誘導時に観察されるクロマチン凝集に必須の役割を果たすことを見出した。さらに初期胚の形態異常のメダカ変異体の解析から、Hippoシグナル伝達系を構成するYAPが細胞外基質の発現制御を介して、細胞極性、組織の形成・維持の制御に必須の役割を果たしている可能性を見出している。すなわち、Hippoシグナル伝達系は、輸送体・受容体・接着分子など細胞膜に存在する分子からのシグナルを、裏打ちする複合体を介して受容し、細胞の増殖やアポトーシスの制御を行うことに加えて、逆に、細胞外基質の発現制御を通じて、細胞膜に存在する分子の制御を行う可能性が示された。
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