研究課題
本年度は性ホルモン非ゲノム経路に関する継続研究と、新たな心血管系特異的トランスポートソームの探索を行った。(1) 性ホルモン非ゲノム経路に関する継続研究:性ホルモン非ゲノム経路の反応の作用の場が細胞膜特殊構造カベオラであること、長年探索し続けられている非ゲノム経路を担当する性ホルモン受容体として、古典的核内受容体の短縮型アイソフォームがカベオラに局在すること、I_<ks>修飾は直接タンパクニトロソ化反応によっており、分子・部位特異的ニトロソ化のメカニズムとして、小さな単位のタンパク複合体が関与すること、非ゲノム経路性ホルモン受容体が、刺激によりタンパクータンパク結合のスイッチを行う動的なトランスポートソームである可能性、などを明らかにした。これらにより性ホルモン非ゲノム経路トランスポートソームの実体に迫ることができた。(2) 新たな心血管系特異的トランスポートソームの探索:心筋細胞の薬物代謝経路としてA01金井グループから供与いただいた有機カチオントランスポーターと心筋イオンチャネルがイオントランスポートソームを形成する可能性が示唆された。また、マクロファージ炎症反応に、K+チャネルとTRPチャネルの相互作用が関与する可能性が示唆され、in vivoレベルでTRPチャネルブロッカーの全投与により、炎症反応が軽減することが示唆された。次年度以降は性ホルモン非ゲノム経路の動的側面の検討と、新たなトランスポートソームの探索へのアプローチを行う。
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