1)AQP水チャネルに関して。 膵臓特異的なAQP12ノックアウトマウスを作成し、膵炎が起きやすいことを明らかにした。その機序としては、AQP12が腺房細胞に豊富に存在する小胞体膜上に存在し、zymogen顆粒の形成に関わっていることが示唆された。 AQP2に関しては、FAPP2というトランスGolgiネットワークに存在するリン脂質結合たんぱくが、そのPKA依存性のapicalソーティングに必須であることを示した。 2)CLCクロライドチャネルに関して。 CLC-Kクロライドチャネルのベータサブユニットであるバーチンにおいて、ヒトでBartter症候群の原因となるR8Lミスセンス変異体の持つ病態生理を探るため、同じ変異を持つノックインマウスを作成し解析した。その結果、本来細胞膜に存在すべきバーチンが細胞内に多くとどまり、その結果CLC-Kチャネルの細胞膜発現が低下していた。また、この細胞膜発現低下をHSP70阻害剤の17-AAGやウコンの成分のクルクミンが改善し、それに伴ってBartter症候群も改善された。今後のヒトでの治療に生かせる知見を得た。 3)WNKキナーゼについて。 WNK4ノックアウトマウスを作成し、WNK4がWNK-OSR1/SPAK-NCC系に対して正のシグナルを送っていることを明らかにした。またangiotensinIIがこの系の上流に存在することを示した。さらに、食事のK摂取量に応じて制御を受けることも明らかとなった。
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