研究課題/領域番号 |
17081012
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
日比野 浩 大阪大学, 医学系研究科, 准教授 (70314317)
|
研究分担者 |
倉智 嘉久 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (30142011)
野村 泰伸 大阪大学, 基礎工学研究科, 教授 (50283734)
|
キーワード | アストロサイト / K^+チャネル / 水チャネル / 輸送体 / 微小ドメイン |
研究概要 |
脳アストロサイトは、その突起を介して、神経の興奮時に細胞外へと放出されるK^+を迅速に取り込み、血管の方向へ放出する機能を有する。このK^+の極性輪送は、正常な神経活動の維持に重要である。また、K^+と同時にCl^-が運搬されるため、細胞膜を介した浸透圧変化が生じ、それに従って水輸送も共役して駆動される。K^+・水が極性運搬されるには、それらを輸送するチャネルが、特定の場所在し、機能共役しなければならない。K^+・水輸送を担う中心分子は、内向き仁整流性K^+(Kir)チャネルKir4.1・Kir5.1と、水チャネルAQP4であり、それらはシナプスや血管の周囲突起で共存している。その局在決定機構は不明である。また、K^+、水の共輸送を考慮すると、膜上でチャネルが更に小さな単位において集積していると考えられるが、その実体は明らかでない。本研究では、K^+水輸送を担う分子の特定の膜への局在の分子機構を解明すると共に、微小単位としの集積とそのプラットフォームを同定し、極性輪送の成立基盤を明らかにする。本年度は、培養細胞における水輸送の評価の実験系を充実させた。蛍光色素カルセインを用いて細胞外の浸透圧変化に対応した細胞容積の増減を測定する基本的な系に改良を加え、以前より高速での水輸送の評価が可能となった。そのデータを元に、アストロサイトの水輸送のシミュレーションを行った。AQP4の発現の有無で変化する低浸透圧刺激に対応した細胞膨張速度の予想値が、その実測値とよく合致した。このモデル化は、水とK^+輸送の共役のプロセスを定量的に理解ずる上で、重要な役割を果たすと期待される。
|