研究課題/領域番号 |
17081016
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
金井 好克 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (60204533)
|
研究分担者 |
永森 収志 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (90467572)
大垣 隆一 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (20467525)
木村 徹 杏林大学, 医学部, 助教 (30433725)
|
キーワード | 膜輸送 / トランスポーター / 複合体 / 生体膜 / 上皮輸送 |
研究概要 |
本研究は、有機溶質トランスポーターを中心として形成されるトランスポートソームを対象としてその分子構築と機能を明らかにすることにより、トランスポートソームの実体を明らかにすることを目的とする。研究最終年度に当たる平成21年度は、以下の成果を得た。(1) 「トランスポーターが足場タンパク質とともに形成するトランスポートソーム」のin vivoにおける実証。tag付尿酸トランスポーターURAT1を腎近位尿細管で発現させた遺伝子導入マウスを作製した。tag付URAT1は、近位尿細管管腔側膜に局在して発現した。このマウス腎より抗tag抗体による免疫沈降を行い、共沈降するタンパク質を質量分析にて解析したところ、近位尿細管の管腔側のPDZ結合モチーフを持つ複数のトランスポーターとPDZタンパク質PDZK1、NHERF1が共沈降した。これは、実際に腎近位尿細管の管腔側膜で、PDZタンパク質によるトランスポートソームが実在することを支持する。(2) 「近接する細胞膜を架橋するように形成されるトランスポートソーム」の実証。SLC7ファミリーの新規塩基性アミノ酸トランスポーターCAT5は、マウス胎盤の2層の合胞性栄養芽細胞の近接する2つの細胞膜を架橋するように向かい合って存在することを免疫電顕により明らかにした。これは、2層の細胞間の効率の良いアミン酸の受け渡しを行うために特化したトランスポートソームとなる。(3) 「トランスポーターの機能障害を起こす異常なタンパク質問相互作用」の実証。腎近位尿細管管腔側のシスチントランスポーターb^<0,+>ATのC-末端変異P482Lは、シスチン尿症日本人型変異であるが、この変異C-末端に結合し、野生型C-末端には結合しないHSP40様タンパク質を同定した。この結合によりトランスポーター機能が障害されることを明らかにした。以上を含む5年間の研究を、有機溶質トランスポートソームを対象としたトランスポートソームの実証研究として総括した。
|