(1)血液系細胞の発生を制御する細胞外環境のin vitroでの再構築と解析。 私たちは、以前、骨髄の造血幹細胞やBリンパ球のニッチ細胞の候補としてCXCL12高発現細網細胞(CAR細胞)を同定した。ニッチ細胞や幹細胞・前駆細胞の局在や動態をリアルタイムで捉えたり、その分子機構を明らかにするための、CAR細胞を試験管内で培養する系の樹立が進んだ。 (2)CAR細胞の発生制御に関与する細胞外環境構成分子の解析。 CAR細胞が蛍光標識されるCXCL12/GFPノックインマウスの骨髄よりCAR細胞を分離し、既知の細胞外環境の構成分子を中心に機能遺伝子の発現を解析した。また、骨髄におけるCAR細胞以外の細網細胞分画を分離することができた。次に、CAR細胞と遺伝子プロフィールを比較し、CAR細胞が特異的に発現する細胞外環境関連遺伝子を複数同定した。 (3)CAR細胞の発生制御に関与する細胞外環境の構築における機能とその分子基盤の解析。 1.CAR細胞を特異的に欠損したマウスを作製するため、ターゲティングベクターをES細胞に導入して得られた相同組み換え体を用いてキメラマウスを作製し、組み換えされた染色体をヘテロに持つへテロ変異マウスを作製した。 2.造血幹細胞を末梢血に動員するG-CSFなどの造血制御刺激の付与またはCXCR4遺伝子の欠損により造血幹細胞の増幅が促進または抑制されているマウスと正常マウスのCAR細胞を分離して、種々の遺伝子の発現量を比較し、差がある分子を複数同定した。
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