研究概要 |
本年度はまず、24種のインテグリンヘテロダイマーの大部分のものを組み替え可溶性蛋白質として高度に精製したものをそろえ、ECMをインテグリンが認識するメカニズムに関する研究を進めた。RGD認識型のインテグリンであるαVβ3に.よる基底膜成分fibrillinの認識特異性の解析(Jovanovic, et. al. JBC,2007)、同じくαVβ3がフィブロネクチン上の非RGDサイトを認識することの発見(Takahashi, et. al.J.Cell Biol.2007)、コラーゲン結合インテグリンであるa1β1が全く予想外のリガンドであるセマフォリン7AをRGD配列依存的に認識すること(Suzuki, et. al. Nature 2007)などがその成果である。また、得られた10種類の組み換え可溶性インテグリンヘテロダイマーに関して電子顕微鏡イメージングによる単粒子解析を行い、現在までにサブユニット特異的なコンフォーメーションの存在を明らかにしつつある(未発表)。α6β4インテグリンの頭部フラグメントの結晶化に関しては、コンフォーメーションを固定化するような変異体を作製して精製を完了し、結晶化スクリーニングを進めている。 電子線トモグラフィー法については、イネ萎縮ウイルスの細胞間移動チューブの構造解析を行い、二次元の電子顕微鏡観察では得られない空間情報を得て、感染メカニズムについて新たな知見を得ることが出来た(Kat ayama, et. al.J. Electron Microsc.2007)。 シナプス間隙において特異的な細胞間接着構造を形成するニューレキシンとニューロリギンの複合体のX線結晶解析については、タンパク質精製と結晶化を終え、X線回折デやタの取得まで進んでおり、現在、構造解析を進行中である。
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