研究課題
神経系組織の構築には細胞分化、細胞移動、細胞間相互作用が複雑に織りなす制御機構が存在することが想定されているが、その詳細は不明である。CRMPファミリータンパク質は軸索ガイダンス分子セマフォリン3A(Sema3A)の情報を媒介する分子として同定されたが、その分子機構は長らく不明であった。我々は、Sema3A応答に、FynおよびCdk5というリン酸化酵素が関わること、CRMP1およびCRMP2のCdk5とGSK3による2ステップのリン酸化を介して起こることを発見した(Sasaki et al,2002;Ucida et al.,2005)。またSema3Aが軸索輸送を充進し、その輸送分子として、その受容体であるニューロピリン-1(NRP-1),プレキシンA(PlexA)に加え、分子Xを見いだしつっある。本年度実績としては、1crmplノックアウトマウスの表現型解析 crmpl-/-マウスを作製し、表現型を解析した。同マウスの大脳皮質神経の樹状突起発達およびスパインの成熟は遅延し、sema3A遺伝子との間で遺伝学的相互作用が存在することが判明した(投稿中)。crmpl-/-マウス大脳皮質ニューロンの細胞移動が遅延すること、この遅延はSema3AではなくReelinシグナルの媒介機能の欠損によることが明らかになった(Yamashita et al,2006).2.Sema3Aシグナルとグルタミン酸受容体の輸送との相関 Sema3Aは樹状突起におけるグルタミン酸輸送を惹起すること、これらがSema3Aシグナルによるスパイン成熟の制御に関わる事実を発見した(投稿準備中)。3.受容体およびリガンドの時間的・空間的制御を明らかにする目的で、線虫をモデル動物として用い、もう一つの代表的な軸索ガイダンス分子ネトリンUNC-6/Nerin,ネトリン受容体UNC-5の局在がUNC-51/UNC-14により選択的に制御されていること(Ogura and Goshima,2006)、またガイダンス分子スリットの受容体SAX-3/Roboの細胞における発現をキネシン様分子VAB-8がUNC-73(Rac/RhoGEF)を介して制御すること(Watad-Goshima et al.,2006)を発見した。
すべて 2006
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