研究課題
神経細胞の分化・移動・軸索伸長・神経回路形成の過程には、細胞と細胞外環境に存在する分子との相互作用が必須である。私たちは主要な神経突起のガイダンス(伸展方向を調節する分子)のひとつセマフォリンファミリーのSema3Aの情報伝達を媒介する分子CRMPの分子機構、細胞内外分子の局在機構を中心に、ガイダンス分子の細胞内情報伝達と細胞外マトリックスを含む細胞外環境および組織構築との連関を明らかとする一方,成長円錐部局所のシグナルが神経活動を基盤とする神経細胞の極性や神経回路形成過程に如何に関わるかを形態的・機能的に検証してきた。本年度の成果は、1)CRMP1およびCRMP2が樹状突起パターンの形成やシナプス成熟過程にも関与することを明らかにしたこと2)モデル生物として線虫を用いガイダンス分子ネトリンおよびその受容体UNC-5の局在に異常を示す変異体を単離し、そのメカニズムの一端を明らかとしたこと等である。さらに主にCRMPノックアウトマウスないしリン酸化部位を欠失したCRMP変異体ノックインマウスを作製し、その解析の結果、樹状突起の方向性が逆転するなどの極めて特異な表現型が認められることを発見した。
すべて 2007
すべて 雑誌論文 (3件)
J Neuroscience 27巻46号
ページ: 12546-54
Dev Biol. 304巻2号
ページ: 800-10
Nat Neurosci. 10巻2号
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