研究課題
1)CRMPと細胞内輸送 : CRMP2の非リン酸化型の細胞への導入がSema3Aによる軸索輸送の亢進作用を抑制すること、この輸送される積荷分子としてNRP-1、Fyn、PlexAを同定し、各々特定の速度分布を持つ輸送粒子群であることを発見した。さらにこの過程に、ある種のイオンチャネル機構が関わることを発見した。このSema3Aによる効果が特定の伝達物質受容体、グルタミン酸受容体GluR2/3の樹状突起における局在制御に関与することを見いだしつつある(投稿準備中)。2)CRMPと細胞骨格制御 : Sema3Aシグナルの下流に、CRMP2のCdk5-GSK3bによる2段階のリン酸化と、それによるチュブリン相互作用制御の過程が存在することを見いだした。このリン酸化を受けたCRMP2はAlzheimer病脳の神経原線維の主要な構成成分の一つであることが判明した。さらに、PlexAs、CRMPとアクチン結合蛋白質FilaminAが相互作用することを見出した。FilaminAはC末端部位でインテグリンの細胞内ドメインと相互作用する。一方、CRMPlphosphomimic変異体導入でSema3A様応答が惹起され、同変化がFilaminAのRNAiノックダウンで減弱することを見出した。この結果はCRMP1とFilaminAとの相互作用がSema3A応答媒介に関わることを示唆する。3)crmpノックアウトマウス : crmpl欠損マウスはsema3A欠損体と類似の神経突起の投射パターン、シナプス成熟および行動の異常を示すことを見出している. CRMPのリン酸化の生体内における役割を検討するためcrmp2の非リン酸化型変異体crmp2S522A knock-inマウスを作製し、その表現型解析を行なった。その結果、crmp1 : crmp2KIダブルホモ個体において大脳皮質錐体細胞の樹状突起パターン形成が異常となることが明らかとなった。
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http://pharmac.med.yokohama-cu.ac.jp