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2007 年度 実績報告書

巨大分泌蛋白質リーリンによる、脳のレイヤー構造形成制御の分子機構

研究課題

研究課題/領域番号 17082007
研究機関名古屋市立大学

研究代表者

服部 光治  名古屋市立大学, 大学院・薬学研究科, 准教授 (60272481)

キーワード脳 / 発生 / 細胞移動 / リーリン / 変異マウス
研究概要

哺乳動物の大脳皮質及び小脳にはそれぞれ特徴的なレイヤー(層)構造があり,脳の正常な機能発現に極めて重要な役割をもつ。巨大分泌蛋白質リーリンはこのレイヤー構造形成に必須である。しかし現在に至るまで,リーリンの寿命や拡散制御のメカニズム,シグナル伝達機構の全容は明らかではなく,これらの現象の包括的理解には至っていない。リーリンのC末端領域(CTR)は塩基性アミノ酸に富む特徴的な構造を持っており,その成熟蛋白質における有無はalternative splicingによって決定される。CTRは従来,分泌に必須であると信じられてきたが,我々はCTRが分泌には直接必須ではないことを明らかにした。そして,CTRは細胞膜上にあるリーリン受容体とリーリンの間の相互作用を安定化させることを新規に見出した。以上の結果から,CTRはおそらく陰性荷電の細胞外基質に結合し,リーリンと受容体との結合(または拡散)を制御していることが示唆された。
リーリンには二種類の受容体が存在し,リーリンがいつ・どの細胞に受容されるのかについては現在なお決着していない。そこで,リーリンの受容体結合部位とアルカリフォスファターゼの融合蛋白質(APリーリン)を利用して,リーリン受容体の機能的発現部位同定を目指した。その結果,大脳では,脳室に近い層が強く染色され,表層側はほとんど染色されなかった。リーラー(リーリン欠損)マウスでは逆に,表層にいくほど濃い染色が観察された。さらに,リーラーマウスとほぼ同じレイヤー形成異常を呈するDab1欠損マウスの大脳皮質を染色したところ,むしろ野生型に近い染色像を示した。以上の結果から,リーリン受容体はリーリンに結合することでダウンレギュレーションを受けることを意味しており,リーリンの機能を考える上で極めて重要である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2008 2007

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件)

  • [雑誌論文] The C-terminal region of Reelin:structure and function2008

    • 著者名/発表者名
      Hattori, M.
    • 雑誌名

      Reelin Glycoprotein, Biology, Structure and Roles in Health and Disease (In press)

  • [雑誌論文] he extremely conserved C-terminal region of Reelin is not necessary for secretion but is required fbr efficient activation of downstream signaling2007

    • 著者名/発表者名
      Nakano, et. al.
    • 雑誌名

      Journal of Biological Chemistry 282

      ページ: 20544-20552

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Structure of a receptor-binding fragment of reelin and mutational analysis reveal a recognition mechanism similar to endocytic receptors2007

    • 著者名/発表者名
      Yasui, et. al.
    • 雑誌名

      Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A 104

      ページ: 9988-9993

    • 査読あり

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公開日: 2010-02-04   更新日: 2016-04-21  

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