研究課題/領域番号 |
17083001
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研究機関 | 岩手大学 |
研究代表者 |
薮 敏裕 岩手大学, 教育学部, 教授 (20220212)
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研究分担者 |
中村 一基 岩手大学, 教育学部, 教授 (20133895)
宇佐美 公生 岩手大学, 教育学部, 助教授 (30183750)
木村 直弘 岩手大学, 教育学部, 助教授 (40221923)
脇田 健一 龍谷大学, 社会学部, 助教授 (00305319)
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キーワード | 寧波 / 仏舎利 / 景観 / 葬送儀礼 / 祖霊信仰 / 死生観 / 中国 |
研究概要 |
平成17年度は、「死」や「葬送」にまつわる習俗・慣習の歴史的変遷と大陸から日本への伝播の道筋を明らかにするための基礎調査を日本および寧波周辺地域を中心に行った。 具体的には、中村が9月と本年1月に行った日本おける現地調査の結果、南都仏教が舎利殿での舎利講・舎利容器・舎利塔などのいわゆる「仏舎利の荘厳」の存在から「仏舎利信仰」を中核にしていることを確認した。また、木村・脇田が二度にわたって寧波およびその周辺で行った葬送儀礼の現地調査では、仏教色の強い寧波地区における仏教と道教との習合関係の実態を精査し、特に葬儀屋の意識や葬儀内容の面で、特にここ5〜6年で大きな変化を見せていることが確認した。さらに、宇佐美は医療とりわけ終末期医療を背景にした日中の「死生観」の比較研究のために、日本において「よき生と終末期医療」に関わるアンケート調査の資料を収集・整理する一方で、中国の病院関係者から、終末期を支援する医療体制と患者の「よい死に方」に対する意識について聞き取り調査を行った。 研究会については、平成17年9月30日に中村が「日本の仏舎利信仰」という研究報告を行い、仏教における「聖遺物信仰」の視点から、日本の仏教文化における「仏舎利信仰」の歴史的な意味について発表した。次いで、翌平成18年4月年2月28日には、藪が「中国古代の祖霊信仰」という研究報告において、中国における祖霊に関する思想史的考察を行い、祖霊観の変遷を概観した。 一般向けの講演会としては、平成18年2月7日に寧波大学の戴光宗学報主篇を招聘して「潤物細無聲」と言う題目で講演会を行い、禅宗および陽明学等日本ではよく知られた事例を学問領域を超えて一覧し、新たな視点が生まれる契機となった。さらに、3月1日には清華大学人文社会科学院歴史系の劉暁峰副教授を招聘して「墓参時期からみた中国人の祖霊信仰」という題目で講演会を行い、春・秋の墓参は陰陽思想と深くつながっていることを確認した。
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