研究課題/領域番号 |
17083002
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
勝山 稔 東北大学, 大学院・国際文化研究科, 准教授 (80302199)
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研究分担者 |
高西 成介 高知女子大学, 文化学部, 准教授 (50316147)
川島 優子 龍谷大学, 文学部, 専任講師 (30440879)
塩 卓悟 関西大学, アジア文化交流研究センター, 非常勤講師 (80449826)
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キーワード | 「三言」 / 内藤文庫 / 静嘉堂文庫 / 田中貢太郎 / 『太平広記』 / 『夷堅志』 / 『金瓶梅』 / 井上紅梅 |
研究概要 |
平成20年度は開始年度から4年が経過し、研究活動の成果の一部が続々と発表された。班全体の活動としては、公開研究発表会を(1)東京大学(7月26日)(2)高知女子大学(12月7日)における公開研究会を開催と、(3)大阪大学(12月13〜14日)で国際シンポジウムを日中儒学班と共催で実施した。また(4)高知女子大では高知市民セミナーを開催し、参加者100名を越える盛会となった。各班員の個別の研究は以下の通りである。 (勝山)明治以後の「中国短篇白話小説の日本への受容」について、国立国会図書館・国立公文書館・近代文学館及び東京大学・愛知大学等で積極的な資料収集を実施し、大正時代の翻訳文体について東京大で研究発表を、「三言」の日本伝播にういて高知女子大学で講演を行ったほか、論文を『東方』『国際文化研究科論集』などに3本を発表し、また4本の論文が現在投稿中や校正中である。現在は新たに出て来た課題に向けた分析調査を行う一方、来年度以降の公開に向けて論文を鋭意執筆中である。 (高西)文言小説関係とりわけ『太平広記』から「海」や「川」「湖」など水辺に関わる文言小説を抽出し、読解する作業を行った。あわせて、高知女子大学で「唐代小説に描かれた海」と題してその研究の一部を発表した。並行して田中貢太郎の中国怪奇小説受容をめぐって、引き続き検討をおこなった。さらに、山東省臨沂、蓬莱、煙台、青島などで、現地調査と資料収集を行った。 (川島)現存する限り、最古の、また唯一江戸時代に作られた『金瓶梅』の訓訳本(鹿児島大学付属図書館玉里文庫所蔵)の緻密な調査を進めた。この訓訳本を直接作成した人物、間接的に関わった人物等の関係、この訓訳本が作られた背景などを明らかにし、江戸時代における『金瓶梅』受容の新たな在り方に迫った。3回の口頭発表を行った(ワークショップ、セミナー、学会) (塩)『太平広記』『夷堅志』の解読作業を進めるとともに、両書が近世・近代日本においてどのように受容されてきたのかを検討するため、国立公文書館・静嘉堂文庫・宮内庁書陵部・国立国会図書館・東洋文庫での両書の版本調査を実施した。また、高知市民セミナーおよび小説芸能班・公開研究会(於高知女子大学)において、静嘉堂文庫所蔵の唐宋文言小説や『太平広記』版本に関する報告を行い、雑誌『汲古』に内藤文庫所蔵の上『太平広記』の版本に関する論考を上梓した。
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