研究課題/領域番号 |
17083008
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
藤井 恵介 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (50156816)
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研究分担者 |
高村 雅彦 法政大学, 工学部, 教授 (80343614)
角田 真弓 東京大学, 大学院・工学系研究科, 技術専門職員 (20396758)
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キーワード | 禅宗 / 五山 / 寧波 / 環境 / 江南 / 住宅 / 月湖 / 五山十刹図 |
研究概要 |
藤井恵介・角田真弓担当:藤井の研究テーマは、中国の宋代を中心とした建築と日本の中世寺院築との比較研究である。(1)中国建築の調査、2009年度は、河南省、山西省の、唐代、宋代の建築を中心に、調査を実施した。昨年度は、従来報告されている大規模な建築を調査したが、本年は、もう少し小規模な建築を集中的に調査を実施した。宋代の山西省南部に普及していた建築の実態を把握した。(2)『五山十刹図』に記されている13世紀南宋の禅宗寺院における建築、法具、儀礼、図法、言葉などを徹底的に分析した。東福寺所蔵の「大宋諸山図」の写真版を入手して、その分析の精度を上げた。 高村雅彦担当:高村の研究テーマは、「都市寧波」の住宅地の変遷過程と住宅の空間構成を現地調査によって詳細に分析し、寧波の都市空間の独自性を明らかにすることが目的である。2009年度には、18世紀の月湖の埋め立てによって成立した月湖地区をそれぞれ調査し、類型化とともに比較分析を行って、個々の独自性を見出した。「都市寧波」の住宅地の変遷過程と住宅の空間構成について、(1)水面の多い都市を開発しながら、水と共生する快適な環境を築き上げてきたこと、(2)いつの時代も住宅の中庭が持つ利点を活用・自覚しながら、時代の要請に応じて快適な住宅地を形成してきたことを総じて明らかにしてきた。その際に、(3)単に古地図や文献史料の分析だけでなく、実測や聞取りによる現地調査を行い、それによってまず最初に現在の空間特性を把握し、次に時間軸を入れながら形成の過程をさかのぼるフィールドワークの方法論がどの分野でも有効であることを示すことができたと確信している。 最終年度であるので、報告書を作成して刊行した。
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