研究概要 |
1. 研究代表者と連携研究者(深沢克己、堀井優、四目市康博)が特定領域研究の海域分野メンバーを中心に組織された東アジア海域史研究会に積極的に参加し、それぞれ重要な役割を果たした。研究代表者の羽田は総論のまとめ役としてすべての研究会に参加し、全体構想の具体化のために尽力している。四日市は第1班(1250-1350年の東アジア海域)の概観部分を担当し、このグループの議論をリードしてきた。深沢と堀井は、地中海海域世界やバルト海・北海海域世界との比較を念頭に、2008年11月、2009年3月の研究会で、包括的なコメントを述べた。これら「海域比較研究」班員の積極的な関与もあって、東アジア海域史研究会の研究活動は順調に進んでおり、平成21年度一杯かかってさらに議論を進めた上で成果を文章化し、一般書として出版する予定である。この書物が出版されれば、東アジア、とりわけ、東シナ海沿岸の諸地域の歴史が相互に深い連関性を持って動いていたことが了解されるはずで、従来の日本史、中国史、朝鮮史の通説は多くの点で再考を促されるだろう。 2. 英文図書Asian Port Cities 1600-1800. Local and Foreign Cultural Interactions (Edited by Haneda MasasLi, NUS Press & Kyoto University Press, 2009)の出版 この書の最初に置かれた序章は羽田の執筆で、アジア諸地域の港町における異文化交流を比較する際の具体的な手法が論じられている。その内容の一部は、本研究を通じて獲得された知見である。本論文集は、研究目的と方法を共有する国内外の10人の研究者が実際に会議で報告と議論を行った上で、その成果をまとめて出版したものである。日本人研究者が主導した国際共同研究の一つの例として、重要な意味を持っている。
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