研究課題/領域番号 |
17083011
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研究機関 | 東京学芸大学 |
研究代表者 |
高橋 忠彦 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (40126107)
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研究分担者 |
佐藤 正光 東京学芸大学, 教育学部, 准教授 (60272621)
山口 聰 愛媛大学, 農学部, 准教授 (20281735)
水上 和則 専修大学, 法学部, 非常勤講師 (00418592)
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キーワード | 東洋史 / 中国文学 / 物質文化研究 / 喫茶文化 / 漸江 / 宋代文化 / 文人文化 / 茶の湯文化 |
研究概要 |
本研究の目的は、宋代の茶文化の実態を、文献、考古、植物学など、多方面の分析によって解明することである。その際、宋代に限定せずに、ひろく中国茶文化史を検討することと、日本の喫茶文化の形成を解明することも目指している。 本年度は、文献面では、宋の梅尭臣、欧陽修、蘇軾、蘇轍の茶詩と、明に寧波で作成された茶書『若笈』の詳細な訳注を作成刊行した。梅尭臣、欧陽修は、宋代前期の点茶文化の最盛期を代表するもの、蘇軾、蘇轍は、点茶の相対化と煎茶の再発見をしたものと位置づけることができ、それぞれの喫茶方式、茶の美学を分析することができた。 文献研究以外にも、浙江を中心とした考古学、植物学の現地調査を進め、その成果の多くは、宋代茶文化研究会と雑誌『現地調査研究〜地域・環境・心性〜』等で公表している。その結果、唐代から宋代にかけての浙江の茶文化を、茶具の使用の実態、茶樹の伝播の調査などを通じて、より具体的に解明しつつある。 鎌倉・室町期の日本の茶文化の検討も進めており、特に五山文学の茶詩の分析により、日本固有の喫茶文化の形成を跡づける可能性を探っている。五山文学に於いで、「湘茶」など、日本独自の喫茶表現が見られることとは注目すべきであるが、同時に唐宋の「煎茶」文化の影響が看過できないほど大きいことが確認された。これを「茶の湯文化」の形成とどのように関連づけるかは今後の課題である。また、茶文化に関係する資料として、ベトナムの漢字辞書『大南国語』の翻刻・索引を作成したが、これは近世ベトナムの生活文化語彙集として重要なものであり、日本での紹介は初めてである。今後のアジア文化研究に広汎な研究に資料を提供するものである。
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