研究課題/領域番号 |
17083015
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研究機関 | 兵庫教育大学 |
研究代表者 |
松田 吉郎 兵庫教育大学, 学校教育研究科, 教授 (30229497)
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研究分担者 |
本田 治 立命館大学, 文学部, 教授 (50107124)
神吉 和夫 神戸大学, 工学部, 助手 (70031135)
南埜 猛 兵庫教育大学, 学校教育研究科, 助教授 (20273815)
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キーワード | 水利 / 利水 / 治水 / 水環境 / 水利技術 / 水の娯楽 |
研究概要 |
本研究班は寧波地域の水利開発と環境を研究することを目的とし、本年度は以下の研究を実施した。中国方志叢書浙江省第1期、第2期、『浙江省水利志』等の書籍を購入し、また、乾隆『〓県志』『寧波市志』等の資料を複写し、さらに、2度にわたる寧波現地調査により『〓県水利志』『甬江志』『皎口水庫志』『2005寧波統計年鑑』など多数の関連資料を収集した。寧波水利に関する先行研究文献については「寧波関係先行研究文献目録」を作成し、斯波義信『宋代江南経済史の研究 訂正版』(汲古書院、2001年)、繆復元「它山堰考疑」(『它山堰曁浙東水利史学術討論会論文集』中国科学技術出版社、1997年)等を収集した。これらの資料、先行研究から寧波地域の水利開発についての歴史的経緯は既に明らかにされているが、歴史研究が中心であり、各水系の防水、利水の具体的内容の検討、及び工学的分析、地理学的分析は十分ではないことが明らかになった。また、2度にわたり寧波調査を行い、寧波水利局、〓州区水利局、寧波市規画局を訪問し、現代水利建設のマスタープランを伺い、寧波市水利の重点は都市生活用水の確保であり、水環境の保全にも力を入れていることが明らかとなった。寧波大学城市発展与規画研究所の訪問により、寧波港の建設、都市建設の概要を聞き取り調査した。さらに、它山堰、東銭湖、広徳湖、水門、皎口水庫(ダム)などの古代から現代の水利施設を参観し、立地条件、水利機能、工学的特長を考察した。その結果、古代水利施設は海潮を防ぎ、淡水を農村、都市部に供給する重要な施設であり、現代の水庫(ダム)建設は都市部の生活用水の機能が大きかったことが明らかになった。水の娯楽に関してはペーロン・龍舟関係文献資料を収集するとともに、日本の相生のペーロン関係者からの聞き取りにより、中国の龍舟との関連について示唆を得た。中国水利技術の日本への伝播については17世紀の朱舜水による水戸の偕楽園建設、20世紀の華僑呉錦堂による慈渓県杜湖・白洋湖治水、神戸小束野開拓に焦点をあて、資料・先行研究文献収集を行った。
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