研究課題/領域番号 |
17083024
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
静永 健 九州大学, 大学院人文科学研究院, 助教授 (90274406)
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研究分担者 |
齋藤 希史 東京大学, 大学院総合文化研究科, 助教授 (80235077)
キャンベル ロバート 東京大学, 大学院総合文化研究科, 助教授 (50210844)
道坂 昭廣 京都大学, 大学院人間環境学研究科, 助教授 (20209795)
副島 一郎 同志社大学, 言語文化教育研究センター, 助教授 (00288565)
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キーワード | 漢籍 / 奈良:平安 / 江戸:明治 / 大正:昭和 / 南摩綱紀 / 三島中州 / 岸田吟香 / 国際情報交換 中国:韓国:台湾 |
研究概要 |
本年度は、研究代表者静永が主幹となり、日本における中国古典の読書の歴史について、研究者を全国から募って研究会を開催、かつ、その成果を学術雑誌の特集号として公刊し、広くその成果を公表した。アジア遊学第93号特集『漢籍と日本人』である。本誌は17名の執筆陣(うち本特定領域研究メンバー以外の研究者8名に参加していただいた)による堂々230頁におよぶ特集号となり、日本文化の形成史の中で、中国古典籍を読むことが如何に重要な意味を持っていたのかを、奈良・平安時代より綿々と大正・昭和初期まで、ほぼ途切れることなく、また、貴族・武家から地方の知識人社会まで各階層を横断的に見わたした論文集となり、本研究課題の今後の推進のためにも有力な指針を示すものとなった。また、この企画は本特定領域研究の全体の中でも、各研究班相互における紐帯的役割を果たしているようであり、来年度も、江戸・明治を中心とする庶民文芸、また、儒教・仏教・道教等に関わるアジアの身体論(養生論)の形成史を主なテーマとして、同様のワークショップを組織、そのノウハウについて、本研究代表者静永が助言者の一人として参加している。 一方、本研究チームの研究分担者それぞれにおいても、本年度はそれぞれに目覚ましい活躍があった。とくに道坂と静永は奈良・平安・鎌倉時代を中心に、そしてキャンベル・齋藤・副島については、江戸・明治を中心とする近世近代日本の研究において、著書・編著および研究論文が公表された。 最後に、本研究チーム五名が共同して取り組んでいる南摩綱紀(1823〜1909)の詩文解読作業であるが(『環碧楼遺稿』五巻)、この作業によって、近代日本の文化面での発展に大いに貢献した人物(たとえば、三島中洲1831〜1919、岸田吟香1833〜1905など)の従来はあまり知られていなかった一面などが窺われるように思われる。来年度もこの研究作業を続け、この訳注書を一日も早く公刊したいと考えている。
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