研究課題/領域番号 |
17083026
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
森平 雅彦 九州大学, 大学院人文科学研究院, 助教授 (50345245)
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研究分担者 |
村井 章介 東京大学, 大学院人文社会系研究科, 教授 (30092349)
六反田 豊 東京大学, 大学院人文社会系研究科, 助教授 (40220818)
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キーワード | 東洋史 / 朝鮮史 / 日本史 / 寧波 / 海域交流 |
研究概要 |
本研究は、中世・近世の朝鮮をめぐる東アジア海域交流の様態について、寧波を軸に解明するものである。本年度は、昨年度に得た研究焦点の見通し--海域におけるヒト・モノ・情報の移動を成り立たせる諸条件(港湾の様態、船舶技術、航海・漂流の実際、応接態勢、海に関わる人々の生活など)--に即して、朝鮮史における当該分野の専門家である長森美信氏(天理大学)にも随時協力を仰ぎつつ検討を行った。 まず昨年度にひきつづき、先行研究の検討、麗宋関係史料データベースと『高麗図経』校訂テキストの作成、CO1-6「11〜16世紀の東アジア海域と寧波-博多関係」班・CO1-8「寧波地域における日明交流の総合的研究」班との共同による遣明使記録『初渡集』の講読を実施した。あわせて本年度は、当研究班の主催により朝鮮初期の官人崔溥が中国浙江地域に漂流した際の記録である『漂海録』の講読会を開始した。さらに、以上の史料検討を通じて問題となった歴史の現場について、中国の寧波・舟山群島、韓国の南西多島海・済州島・泰安半島・浅水湾・永宗島等の諸地域を訪問し、上記の他2班とも協力して日本史・中国史を含めた幅広い見地から立地等の環境を検証することで、歴史的な文献記述との照合を行った。 こうした作業の結果、朝鮮半島-寧波間の通交に関する史料解釈の深度が大きく向上したが、とりわけ、浙江地方沿海や朝鮮半島中西部沿海における航路とその要地について、航海の実際をふまえた位置比定が可能となり、また朝中間漂流の個別具体的な過程を復元することが可能となった。それらの成果は1月7日に当研究班主催の国際ワークショップ《朝鮮海事史の諸問題》において、「海上航路復元の視座-『高麗図経』を素材として」(森平雅彦)、「朝鮮史からみた朝鮮時代の漂流・漂着問題」(六反田豊)、「コメント--日本対外交渉史の立場から」(村井章介)として発表している。
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