研究課題
本研究は、中・近世朝鮮をめぐる東アジア交流について、海域におけるヒト・モノ・情報の移動を成り立たせる諸条件(港湾の様態、船舶技術、航海・漂流の実際など)に注目して解明しようとするものであり、本年度の研究実績は以下のとおりである。(1)各メンバーは上記課題の分析例として遣高麗宋使船の航路(森平)、中世港湾の東アジア比較及び琉球・東南アジアとの海域交流(村井)、朝鮮時代の漂流・海防・沿岸社会状況(六反田)、朝鮮伝統船及び朝鮮通信使船の構造(長森)について、個別に研究を進めた。(2)15世紀の朝鮮官人崔淳の中国漂流体験記『漂海録』の講読会を4・6・8・10月に開催した。(3)中・近世における東アジア海上航路の要衝である江華島・喬桐島・徳積群島(7-8月)、外烟列島・安興半島(11月)において、歴史地理に関する現地調査を実施した。(4)本特定領域研究の基幹プロジェクト「東アジア海域世界の理論化」に各メンバーが参加し、成果とりまとめと出版にむけて検討会を重ねた。(5)高麗時代対宋関係史料集、朝鮮時代中国漂流関係史料集を完成し、上記の『漂海録』訳註とあわせて『中近世朝中関係資料集(稿)』として公刊した。(6)以上の研究成果については別記のように一部を論文または口頭発表により公表したが、特に研究総括としてシンポジウム《中近世の朝鮮半島と東アジア海域》を九州史学会朝鮮學部会と共催した。
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