本年度は、研究代表者・研究分担者・研究協力者(橋本雄・米谷均)が研究課題に関する史料調査・文献収集・現地調査・発掘調査などを行うとともに、これらの活動の成果にもとづいて研究を進め、その成果を学術雑誌等に発表した。また、あわせて「寧博班」(C01-06)・「朝鮮班」(C01-7)などと共同で、史料輪読会・現地踏査・ワークショップなどの研究活動を行った。 【研究代表者・研究分担者の実績】 (1)研究代表者の伊藤は、13〜16世紀の日中交流に寄与した禅宗勢力の港町における展開、及び入明記の分析を現地踏査に基づいて行った。 (2)研究分担者の西尾は、中世日中交流に関与した禅僧が起草した難解な史料の翻刻・分析、及び宋元代における中国禅宗と国家権力との関わりを考察した。 【史料輪読会】 (1)12月より、伊藤が責任者となり、「寧博班」・「朝鮮班」と共同で、策彦周良著『初渡集』の輪読会を開催し、テキストの校訂と読解を進めた。(伊藤・橋本・米谷)。 【現地踏査】 (1)9月、「日明班」単独で、環シナ海の港町・川尻と、九州から瀬戸内を経由した先にある港町・由良を現地踏査した。(伊藤) (2)11月、「寧博班」・「朝鮮班」と共同で、五島列島・平戸地域において、東アジア海域交流(特に入明記関係)の史跡・史料調査をした。(伊藤・西尾) (3)12月、「日明班」単独で、台湾・台南地域の後期倭寇関連の史跡を踏査、さらに台北の中央研究院にて日本の外交文書の原本調査をした。(伊藤・橋本・米谷) (4)2月、「寧博班」・「朝鮮班」と共同で、熊本県高瀬・伊倉地域における海域交易遺跡や唐人墓などの史跡・史料調査をした。(伊藤・橋本・米谷) 【研究会】 (1)9月、「寧博班」・「朝鮮班」と共同研究会を開催し、今年度以降の共同研究に関する打ち合わせを行った。(伊藤・西尾) (2)1月、「寧博班」・「朝鮮班」と共同で、ワークショップ「火器技術から見た海域アジア史」(於九州大学文学部会議室)を開催した。ここでは、Laichen Sun氏(California State University)などの報告者を招聘し、報告と討論を行った。(伊藤) 以上を中心とした研究活動のために、備品費(学術図書・コンピューター関係・カメラなど)、国内・海外旅費、謝金(研究会講演料・データ入力など)、その他(コンピューター関係消耗品、複写費など)を支出した。
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