研究課題/領域番号 |
17083035
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
寺尾 裕 東海大学, 海洋学部, 教授 (10138638)
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研究分担者 |
八木 光 東海大学, 海洋学部, 教授 (80349331)
渡邉 啓介 東海大学, 海洋学部, 准教授 (10297202)
安達 裕之 東京大学, 大学院・情報学環, 教授 (20012495)
増山 豊 金沢工業大学, 工学部, 教授 (10101362)
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キーワード | 琉球進貢船 / 造船技術 / 日中交流 |
研究概要 |
琉球進貢船の性能を解明するための引き続き工学的な研究を引き続き実施した。 本年度は、進貢船の特性と遭難との関連性調査の一環として、大洋における進貢船の帆走状態の評価、すなわち操縦性能の評価を試みた。船体の要素として舵の深さ影響に着目し、船の操縦運動の解明のために必要な船体の斜航時に発生する操縦流体力特性試験を実施し、舵の深さとヒール角度の影響を明らかにした。さらに、その実験データの解析結果をもとにVPP(Velocity Prediction Program)理論、シミュレーション計算などを実施し、一定風速下における定常状態での帆走時速力、横傾斜角、舵角度、切り上がり角度の限界などの運航状況の検討を行った。 また、抵抗、帆性能、船体と舵の流体力特性をもとに、航海中の風条件下での航海速度、旋回性能および操縦限界などについて工学的な指標を明らかにし、日、韓、中の航海学会の合同シンポジウムでその成果を発表した。 さらには、進貢船の航海時期に関連し「唐船風説書」と「唐通事会所日録」をもとに、風と船の両面から17世紀後半から18世紀前半にかけて長崎に来航した唐船の航海に検討を加え、出港地域により航海時期が異なるばかりでなく、船の大小や耐航性の優劣を航海に影響を及ぼすことを明らかにした。また、この結果より遣唐使船の航海時期と季節風の関係についても新たな考察を加えた。 これらの結果、琉球進貢船を対象として日中交流における船舶の性能とその航海における様相を、造船工学的検討結果と文献研究との比較を行うことにより、定量的に評価することが出来た。
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