研究課題
本年度は前年度までの基礎的研究作業を継続するとともに、史料解析を主とした研究への展開を試み、それらをべースとした成果を積極的に内外に発信した。具体的な研究実績は以下の通り。1.地方志・碑記史料の蒐集・整理に関わる前年度までの研究作業を継続し、地方志については、須江が寧紹地区の方志に関する系統的分析や、序跋文等を中心とした訳注稿の作成、史料論的解析を行い、伊原が方志中の叙述に含まれるキーワードの抽出作業と計量的解析に着手した。碑記については、各担当部分の分類整理作業を深化させ、各種史料源の比較調査や解析を進めた。これらの研究により、特に紹興府の地方志・碑記の史料性解明に資する顕著な成果を得た。2.なお、本年度招聘予定であった研究協力者Anne Gerritsen博士は、都合により来日がかなわなかったため、同じく研究協力者のJoseph Dennis博士を招聘し、地方志の史料性と活用法を検討するための第4回公開研究会(東アジア海域講演会)を広島大学で2月に開催した。地方志の史料性をめぐる宋・元・明の時代性の相違等に関する討議が日米の研究者間で活発になされたこと、大学院生が直に米国の中国史研究に触れ、英語で討論を試みる機会が得られたことは、国際学術交流の推進及び次世代研究者の育成といった点で意義があった。この招聘者の交代に伴い、当初予定していた沖縄諸島での地域史料調査の代わりに、石見銀山史跡や日本最古の地誌の一つ出雲風土記の巡見をした。3.成果の公表については、須江・伊原ともに学術雑誌等で内外に複数公にした。また第38回国際アジア・北アフリカ研究会議(於:トルコ共和国)において、海外研究協力者を交えた地域史料論に関するパネルを組織して海外に成果を発信した他、フルテキストからなる予稿集を刊行した。多国籍の研究者と史料論に関する学術交流を行った意義は大きい。
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すべて 雑誌論文 (15件) (うち査読あり 7件) 学会発表 (5件) 図書 (2件) 備考 (1件)
人間科学研究 第5号
ページ: 24-54
東方學 第116輯(掲載確定)
史叢 第77号(掲載確定)
宋代社会的空間和交流(河南大学出版) (掲載確定)
宋代文献資料学新的可能性(河南大学出版) (掲載確定)
日本宋史研究的現状与課題(河南大学出版) (掲載確定)
アジア遊学 第107号
ページ: 106-108
唐代史研究 第10号
ページ: 27-46
アジア遊学 第100号
ページ: 36-39
What Do Rocks and Papers Tell Us?: Building a New Theory of Chinese Local History Documents, ICANAS 38
ページ: 24-62
第52回国際東方学者会議シンポジウムV「中国社会の持続と変容-その論理と実際」予稿集
ページ: 1-6
ページ: 12-15
ページ: 1-3
東方學 第114号
ページ: 121-128
東方學會報 第93号
ページ: 11-13
http://www.l.u-tokyo.ac.jp/maritime/