研究課題/領域番号 |
17084001
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
片岡 博尚 東北大学, 大学院・生命科学研究科, 准教授 (30108568)
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研究分担者 |
新免 輝男 兵庫県立大学, 大学院・生命理学研究科, 教授 (80114510)
菊山 宗弘 新潟大学, 自然科学系, 教授 (90131010)
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キーワード | 青色光受容体 / 黄色植物 / bZIP-LOV / フシナシミドロ / 転写因子 / オーレオクロム |
研究概要 |
黄色植物(Stramenopile)に属するフシナシミドロ(Vaucheria)で発見した新奇のbZIP-LOVタンパクは青色光受容体として機能していることを確認した。この光受容体は青色光で活性化する転写因子であり、フシナシミドロ以外にも、褐藻、ケイ藻、黄金色藻などの光合成をする黄色植物に広く分布することをあきらかにした。そこで、この光受容体蛋白が、黄色いこと、黄色植物は少なからず黄金色を呈することにちなんで、オーレオクロム(AUREOCHROME)と名づけた。(1)オーレオクロムは青色光を吸収するとFMNがLOV領域のシステインと結合するが、この結合は暗黒下で約5分の半減期で離れ基底状態にもどる。このことカら光受容体として機能することがわかった。(2)LOVドメインが青色光を吸収するとbZIPドメインがDNAの標的配列TGACGTと結合し、光を消すと(1)と同じ時間経過でDNAから離れる。すなわちオーレオクロムは青色光で活性化する転写因子であることがわかった。(3)RNAiを利用して、このタンパクを作らなくする旨と、フシナシミドロの青色光による分枝誘導が完全に阻害された。このことから、オーレオクロムはこの光形態形成反応の光受容体であることが明らかとなった。オーレオクロムは有性生殖を制御している可能性がある。さらに、(4)オーレオクロムは黄色植物、すなわち、光合成をするStramenopilsに広く分布することを見つけた。これらの結果をPNAS誌に発表した(Takahashi et al. PNAS 104:19625-19630)。AUREOCHROMEは日本から発信する全く新しいタイプの光受容体であり、この発見は、これまで未開拓であった藻類や黄色植物の生物学を発展させる指導的役割を今後10年以上にわたって果たすであろう。
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