研究概要 |
オーレオクロム(AUREO)はフシナシミドロに2個,褐藻ヒバマタ(Fucus)に2個,中心目ケイ藻Thalasiossira pseudonanaのゲノムに3個のAUREOオルソログが存在することをすでに見つけている(2007).これらに加え,さらに黄金色藻オクロモナス(Ochromonas danica)から2個,ラフィド藻シャトネラ(Chatonella antiqua)から1個,ペラゴ藻オーレオコッカス(Aureococcus anophagefferens)から1個のAUREOオルソログを単離した.これらに加え,羽状目ケイ藻Phaeodactylum tricornutum で検出できる2個のオーレオクロムのbZIP領域とLOV領域の配列を比較して系統樹を作成した.LOVドメインはバクテリアから菌類,緑色植物で青色光センサーとして機能しているが,AUREOのLOVドメインは1群にまとまり,フォトトロピンやWC-1とは独立して進化したと考えられる.FMNとの結合に必要な11個のアミノ酸のうち重要な10個以上のアミノ酸はよく保存されていたことから,これら黄色植物のオーレオクロムは共通の祖先をもち,全て光受容体として機能していると推測できる.さらに,AUREO1と2は大きく2群に分かれるもわかった.褐藻は黄緑色藻に近いが,ケイ藻とはやや遠い関係はAUREO1と2の系統関係にも見られる.この知見はAUREOの機能と進化を考える上で大きな手がかりとなる
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