研究課題
LKP2を過剰発現させたシロイヌナズナでは照明下での胚軸伸長が促進されるが、その際、LKP2過剰発現体とコントロール間で表皮細胞数に差がないこと、LKP2過剰発現体の皮層細胞数はコントロールの1.4倍であること、LKP2過剰発現体の表皮細胞、皮層細胞はコントロールに比べて長く、特に胚軸の中心部の伸長領域でその差が大きいこと(2.9倍の表皮細胞長、1.8倍の皮層細胞長)、LKP2過剰発現体の胚軸の核相はコントロールに比べて8C、16Cが増え、2C、4Cが減少していることを明らかにした。また、LKP2過剰発現体の胚軸ではコントロールに比べオーキシン応答性遺伝子の発現が上昇していること、LKP2過剰発現体とコントール間で葉と根のオーキシン含量には差はないが、胚軸ではLKP2過剰発現体の方がオーキシン含量が高いこと、LKP2過剰発現体の胚軸徒長はオーキシン作用阻害剤で阻害されることを明らかにした。以上の結果から、LKP2過剰発現は、胚軸でのオーキシン含量増加、オーキシン応答性遺伝子の発現誘導、細胞伸長、核相増加を引き起こし、胚軸を徒長させることが明らかとなった。シロイヌナズナLKP2を過剰発現させたジャガイモ(S. tuberosum cv. May Queen)を作製し、15%のショ糖を含む培地を用いて暗黒条件下で栽培した結果、コントロールの1.8倍の塊茎形成数が認められた。塊茎形成が起こりにくい長日条件で土壌栽培を行ったところ、シロイヌナズナLKP2過剰発現ジャガイモはコントロールの4.5倍の塊茎形成数、12.5倍の塊茎重量を示した。これらの結果は、ジャガイモの光周性塊茎形成には、LKP2が関与するシロイヌナズナの光周性花成経路と類似の制御機構が働いていることを示唆するものであった。
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FEBS Lett.
巻: 584 ページ: 2393-2396
Plant Biotech.
巻: (In Press)