研究課題
フォトトロピン(phot)は、光屈性、葉緑体光定位運動、気孔開口光制御など光合成活性の効率化を担う青色光受容体で、phot1とphot2という二つのホモログが存在して光強度に依存して機能分担している。phot分子はN-末端側にLOVと呼ばれる光受容ドメインを二つ、C-末端側にセリン/スレオニンキナーゼドメインを持ち、光により制御されるタンパク質キナーゼとして機能すると考えられる。これまでの研究によりLOV2がキナーゼ活性部位に光可逆的に結合して活性制御の光分子スイッチとして機能すること、その際の結合部位がLOV2ドメインのヘリカルコネクター部分の可能性が高いこと、LOV1は光感度調節に関与することなどを明らかにし、昨年度は、シロイヌナズナのphot1とphot2の4種類のLOVドメインのオリゴマー構造を決め、LOV1に関しては世界初のダイマー結晶構造を発表した。本年度はLOV2によるキナーゼ活性光制御機構をさらに詳細に解明するために、光活性制御機能を持つ最小単位であるLOV2-リンカー-キナーゼよりなるポリペプチドの純品調製系、および同ポリペプチドプチの基質としてphot分子自身の自己リン酸化サイトを含むN-末端ポリペプチドを用いたキナーゼ活性アッセイ系を確立した。これを用いた研究により、1)光によりリンカー部分のJα-ヘリックス部分に構造変化が生じこれがキナーゼ活性光制御に関与すること、2)光によるキナーゼの活性化と、LOVドメインのFMN光反応サイクル中のシステイン-フラビン付加中間体であるS390の寿命との間に正の相関が有りS390中間体がキナーゼ活性化中間体であること、3)これらがphot1とphot2の機能分担、低光強度から中強光域の光センサー、高強度光センサー、に関与することを示した。
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http://www.b.s.osakafu-u.ac.jp/~toxan/home.html