研究概要 |
本提案では,グローバルなネットワークに対して,知能的なソフトウエアに基づく安全な通信基盤の構築を行う.具体的には,各計算機およびチップ上で動作する監視機構を設け,その監視機構が互いに協調する超分散セキュリティソフトウエアを設計する.また,その監視履歴に対するデータマイニングを行うことで不正侵入ルールの自動生成を行うなど,リアルタイムな安全性の確保を実現する.さらに,多数のセンサチップを用いたヒューマンセキュリティなど,その通信の安全性を背景とする新たなネットワークサービスの創出を行うことを目的とする. 以上の目的を実現するために,本年度は動的なモニタリングを用いたファイルバックアップシステムの設計と実装を行うことにより,前年度に開発したネットワークセキュリティシステムにファイルの自己修復機能を備えることに成功した.これにより,不正侵入等によりファイルの改ざんが行われたとしても,不正侵入の検知が行われた段階で,本セキュリティシステムの追跡により不正侵入処理の追跡が行われ,ファイルの修復が自動的に行うことが可能となった.また,本自己修復機能を応用することにより,ネットワークを介した特定ファイルの追跡も実現している.これは,Winny等のファイル共有ツールを悪用した情報漏洩により機密情報や個人情報が流出しても,その流出先を特定することができることを意味する.そして,ヒューマンサポートを実現するための情報共有システムを,本成果であるWANレベルにおける情報共有を実現するためのNAT越え通信メカニズムを用いて設計し,本セキュリティシステムの管理の下,安全なヒューマンサポートサービスを実現した.その他,ヒューマンセキュリティシステムを開発した他,センサチップ群を用いたセキュアな相互協調システムの設計を実施した.
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