研究課題/領域番号 |
17100003
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研究機関 | 生理学研究所 |
研究代表者 |
定藤 規弘 生理学研究所, 大脳皮質機能研究系, 教授 (00273003)
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研究分担者 |
板倉 昭二 京都大学, 文学研究科, 准教授 (50211735)
真弓 光文 福井大学, 医学部, 教授 (70135581)
中井 昭夫 福井大学, 医学部, 助教 (50240784)
松木 健一 福井大学, 教育地域科学部, 教授 (10157282)
小枝 達也 鳥取大学, 地域学部, 教授 (70225390)
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キーワード | 機能的MRI / 共同注意 / 心の理論 / 視線計測 / 脳血流 / 対面コミュニケーション / 学習 / 言語 |
研究概要 |
発達期における社会能力の正常な獲得過程を実証的に解析するとともに、獲得過程における病態を明らかにすることを目的とした。まず乳幼児から学童にいたるまで、順序だてて出現する行動里標に注目し、それに反映されている社会能力の素過程の神経基盤を抽出することに注力した。 視覚情報について、社会的信号に対する選好性である生物感は初期視覚処理を担う領域で表象されること、共同注意は視線交換に伴う右側前頭領域での「共鳴」を基盤にしていることが明らかとなった。この右側前頭領域は、共感の前提としての自己認知と自己評価を、その異なる領域で表象していることを示した。共感と心の理論の関係について、感情情報を含んだ物語理解に、心の理論の神経基盤が関与していること、また、共感の重要な要素である空間的な他者視点取得は、心の理論の神経基盤の一部である後部帯状回と右側の側頭頭頂接合部で表象されることを示した。さらに語用論において心の理論が重要であることを実証的に示した。共感における文化的同調の影響として、恐れ刺激に対する扁桃体での自動的な神経反応が、文化的な同調を受けることを示した。社会報酬については、ヒトの向社会行動の誘因の一つとして想定し、「他者からの良い評判の獲得」は金銭報酬獲得時と同様に報酬系を賦活させる」という仮説のもと実験を行ったところ、報酬系として知られる線条体の賦活が共通して見られた。この結果は、様々な異なる種類の報酬を比較し、意思決定をする際に必要である「脳内の共通の通貨」の存在を強く支持する。
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