研究課題/領域番号 |
17100005
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
村上 富士夫 大阪大学, 大学院・生命機能研究科, 教授 (20089882)
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研究分担者 |
田辺 康人 大阪大学, 大学院・生命機能研究科, 准教授 (10311309)
小林 裕明 大阪大学, 大学院・生命機能研究科, 助教 (20314396)
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キーワード | 大脳皮質 / 介在ニューロン / 細胞移動 / GABA / GFP |
研究概要 |
大脳皮質を構成するGABA作動性は接線方向への移動により大脳新皮質の中間層に到達した後に、放射状方向に移動方向を変え、辺縁層に至る。これらの細胞はその後、再び接線方向に移動することにより皮質内で広がったのち、脳室層に向かって再び放射状の移動をする(Tanaka et al.,2004)。そこで考えられる可能性として、異なる領野に配置されるニューロンはもともと異なった性質を有し、異なるルートを辿って移動していくのではないかというものと、領野によるGABAニューロンの性質に違いはなく、辺縁層に到達したニューロンはランダムに皮質全体に広がった後、皮質板に向かって降りてゆくというものである。後者の場合、後天的にその性質(領野によって異なるものへと)が変化する可能性がある。これらの可能性を検討するため本年度は大脳皮質を構成するGABA作動性ニューロンの起源の一つである内側基底核原基にDsRed遺伝子を電気穿孔法により導入することにより、MGE由来のGABA作動性ニューロンが辺縁層に到達する時期を待ち、その振る舞いを長時間(2日)に亙って観察をおこなった。その結果GABA作動性ニューロンは全てに方向に向かって移動し、各々の細胞は何度も方向転換を繰り返した。その振る舞いの特徴から我々はこれがランダムウォークではないかと考えて理論的解析を行った結果それを支持する結果が得られた。このことは辺縁層においてGABA作動性ニューロンの拡散が起こっていることを意味している。我々はこれに加えて、GABA作動性ニューロンが長期に亙って辺縁層に留まることが出来るのは髄膜にケモカインの一種であるSDF-1が、そしてGABA作動性ニューロンにその受容体であるCXCR4が発現しているためであることを見いだした。
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