研究概要 |
本研究は,重要臓器を傷つけずに体内深部の患部にアクセスして最適な処置を行うために,「外科医の新しい手」となる次世代型高機能エンドエフェクタ及び,エンドエフェクタを患部へ安全・確実に誘導し,術中の処置および処置後の確認・診断を行うための「外科医の新しい目」となる次世代型ナビゲーションの開発を目的とした.本年度は最終年度として以下の各項目について評価しまとめた. 1)高解像度ディスプレイによる実三次元画像(Integral Videography (IV))の高速画像作成アルゴリズムの開発と評価を行った.GPUによるサーフェスレンダリング高速計算により画像更新速度1fps以上(最大で従来の9倍速)を実現した.応用として三次元超音波データの大画面でのリアルタイムIV表示化(この成果は,日本経済新聞平成21年11月12日の全国版の夕刊,および同新聞の平成22年3月1日の全国版の朝刊に掲載)及びヒト脳腫瘍の5ALA蛍光スペクトル分布を脳の三次元モデルに重ね合わせ1V画像表示を実現した.2)心拍動下心臓外科手術支援用デバイスについては内視鏡先端にフラッシュ液のノズルを内蔵することによる観察深度向上を実現した.心電同期によるフラッシュ液噴出タイミング制御により,少ない液体使用によるブタ拍動心内での三尖弁,心耳,腱索,乳頭筋および心室中隔の観察に成功した.3)可変視野内視鏡については,直視と側視,および直視と斜視の切り替えと立体視を両立させ,広い視野と奥行感覚の把握を実現した.4)多自由度屈曲マニピュレータデバイスについては,微細な歯車を用いた同軸回転駆動式の小型屈曲機構を考案し,低トルクでの多自由度屈曲駆動を可能とした.根元部分を従来の直線状の円筒形状から軟性形状に置換できるため,柔剛可変外套管への挿入が可能となった.
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