研究課題/領域番号 |
17101005
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
馬越 佑吉 大阪大学, 大学院工学研究科, 教授 (00029216)
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研究分担者 |
中野 貴由 大阪大学, 大学院工学研究科, 助教授 (30243182)
安田 秀幸 大阪大学, 大学院工学研究科, 教授 (60239762)
橋本 淳 大阪大学, 大学院医学系研究科, 助教授 (40237938)
吉川 秀樹 大阪大学, 大学院医学系研究科, 教授 (60191558)
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キーワード | 骨再生 / アパタイト / 疾患骨 / 結晶配向 / 大理石骨病 / 骨粗鬆症 / X線回折 / 材料工学的アプローチ |
研究概要 |
高齢化社会に直面し、骨疾患に対する新たな治療法や、再生された硬組織の新たな計測・診断法の開発が求められている。骨はコラーゲンの周りに、ナノ寸法のアパタイト結晶が整列し、その配列が生体各部位に依存して制御された複雑な器官である。しかし、その評価はレントゲンやCTを利用して骨密度のみで行っている。本研究では、X線回折法を基盤とし、硬組織中のアパタイトを密度のみでなく、その配向をはじめとする結晶学的因子によって評価する診断法を確立し、臨床応用するための要素技術を開発している。さらに、アパタイトのイオン結晶としての特徴を活かし、磁場印による硬組織中のアパタイトの配向制御を通じて力学特性改善と骨再生デザインを行う。 本年度は、特殊回転治具の改良による配向性評価システムの確立を図るとともに、磁場印加による配向性の制御法の基本技術の獲得、さらには再建された骨組織の力学機能評価の要素技術の確立を行った。磁場制御の手法については、特許公開前であることから詳細は記述しないが、適正な磁場条件の選択により再生初期での配向性付与に成功した。さらに、再生骨の力学機能をナノインデンテーション法、さらには3点曲げ試験により評価することで、再生部での力学機能の変化を断面2次モーメント、骨密度、配向性に分離して評価可することを可能にした。その結果、配向性が再生骨の力学特性を支配する最重要因子であることを実証するとともに、骨系細胞の役割のうち特に破骨細胞の骨形成への役割が解明されるなど、年度当初に予定していた計画を上回る成果が達成された。さらに、磁場を用いるという骨の本来的な形成過程とは異なる人工的な手法が、骨の質的再生には不可欠であることが判明したため、来年度以降は、確立された骨質評価系をもとに、さらに骨再建条件の最適化を図る必要がある。
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