前年度に引き続き、開発要素を組み上げてシステムとしての完成度を高めるためのチューニングと観測手法の開発を実施した。更に、(独)海洋研究開発機構の協力の下、同機構が運用する愛知県豊橋沖のケーブル式海底観測システム「Tokai SCANNER」へ、開発した海底音響基準局を接続し、長期観測に向けた海底ベンチマークを展開した。GPS/音響結合方式の海底地殻変動観測の歴史の中で、オンライン式の海底局が開発され、使用されるのは世界でもこれが初めてとなる。 (1)海底ケーブル接続式海底局の開発 ・インターフェースとなる信号分離基板を海底音響基準局に組入れ、分岐装置デモ機を使用し、電源系および信号系の入念な接続試験、特性評価試験を繰り返しチューニングを実施。 ・海底局メインフレーム投下用の係留ブイシステムの設計、製作を実施。 ・(独)海洋研究開発機構のROV「かいこう7000II」を使って、Tokai SCANNERの分岐装置に海底音響基準局を接続。 (2)音響計測システム(船上局部)の改修 ・新しい観測方式(Pingerモード)に対応した計測モードの付加を実施。 (2)海底ケーブル接続式海底局と海中ロボットを使った海底地殻変動観測 ・設置した海底ケーブル接続式海底局の動作試験、また、海底地殻変動観測システムとしての運用試験として、既存のAUVを海上プラットフォームとした測位観測を実施。 ・後処理によるGPS/音響測地解析の実施。 (3)海中ロボットによる航行観測手法開発 ・潮の流れのある中で理想的な側線をたどるためのGPS測位航法の開発を実施。 ・海中ロボットの無線LANを利用した、海底局制御システムの開発。 ・海底ステーションへのドッキングを意図したアプローチ実験を実施。
|