研究概要 |
(1)人工ガングリオシド分子プローブ創製のための革新的合成技術の開発:ガングリオシドの合成で問題となる脂質導入の非効率性を解消するために、高反応性ユニット環状グルコシルセラミドを開発し、新しい効率的なガングリオシド合成法を確立した(Carbohydr. Res.,343,2729-2734,2008)。また、糖鎖-タンパク質相互作用を解析するための糖鎖アレー、抗糖鎖抗体作成用の免疫原性糖鎖複合体、糖加水分解酵素の基質特異性解明および酵素探索のための蛍光化糖鎖など種々の糖鎖プローブを合成し、GBS発症機序の解明などに応用した(Glycoconjugate J., 25, 269-278 & 545-553, 2008)。 (2)新戦略による新規b-シリーズガングリオシド分子プローブの創製と高次生命機能の制御:ガングリオシドGT1b糖鎖プローブとボツリヌス毒素の複合体形成によるX-線結晶構造解析を行い、分子レベルでの毒素感染機序の解明に成功した(PLoS Pathogens,4,1-10,2008)。また人工ガングリオシドGQ1bの大量合成と分子プローブ化に成功(J. Org. Chem., in press)し、神経細胞の分化誘導実験に着手している。 (3)セレクチン及びシグレックを標的とした新規糖鎖リガンドのデザインと合成、及び機能解析:B細胞に特異的なシアル酸結合性イムノグロブリン様レクチン(シグレック)であるCD22(シグレック-2)のリガンド構造要求性の解明に取り組み、天然リガンドを凌ぐ高親和性リガンドの開発に成功した(J.Med.Chem.,51,6665-6681,2008)。一方、内在性リガンドであるシアリルα2,3/α2,6 6-スルホルイスX及びLacNAcの合成を触媒する酵素遺伝子の転写調節機構を明らかにした(J.Biol.Chem.,283,34563-34570,2008)。
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