研究課題/領域番号 |
17104004
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
八木 駿郎 北海道大学, 電子科学研究所, 教授 (30002132)
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研究分担者 |
武貞 正樹 北海道大学, 大学院・理学研究科, 講師 (30311434)
伊藤 満 東京工業大学, 応用セラミック研究所, 教授 (30151541)
徳永 正晴 北海道大学, 名誉教授 (60001682)
小野寺 彰 北海道大学, 大学院・理学研究科, 教授 (40142682)
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キーワード | 量子常誘電体 / 量子強誘電体 / 量子ゆらぎ / ソフトモード / 広帯域分光法 / ミリケルビン領域 / フォノン / ブリルアン散乱 |
研究概要 |
今年度は、本研究課題の最初の年度であるので、研究目的達成のための広帯域-高分解能スペクトル観測装置を主とする実験システムの構築に主眼が置かれた。そのため、 1.量子ゆらぎとフォノンの結合の効果を光散乱スペクトルの特徴として検出するための、高分解能-広帯域分光システムを、光源として半導体単一モードレーザー(DPSS500-TYS型、Diabolo社製)を用い、各主要光学部品を消耗品費で購入することで光学系を組み立てて構築した。その長時間安定性、高分解能の程度及び広帯域振動数領域におけるスペクトルの光学系に起因するひずみに関して検定を行った。その結果を高分解能-広帯域分光システムにフィードバックすることで光学系の改良を行い、初年度末の時点で充分に高い性能を有する分光システムを実現した。今後の年度においても本高分解能-広帯域分光システムの性能の更なる向上は続けて計られる予定である。 2.コヒーレント量子ゆらぎダイナミクスの観測のために不可欠な1K以下の極低温領域に試料を保持できる光学クライオスタットの設計を開始した。クライオスタットの構造と可能な低温到達・保持性能の検討を行い、ヘリウム3を用いた光学窓を有するタイプが結論された。その製作のため、オクスフォードインスツルメンツ社製の極低温クライオスタット製作材料を購入し、極低温クライオスタットの試作を開始した。これは来年度にかけて行われる予定である。 これらの進展により、今年度の目標である広帯域-高分解能スペクトル観測装置と1K以下の極低温に試料を保つ光学クライオスタットが組み合わされて目的の実験システムの概略が実現した。来年度では、光学系の更なる改良に会わせて、極低温領域における試料保持が可能な極低温光学クライオスタットを作成して光学システムに組み合わせ、本研究目的の基本的な構成を完成させる予定である。
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