研究課題/領域番号 |
17105002
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
高野 幹夫 京都大学, 物質-細胞統合システム拠点, 特定拠点教授 (70068138)
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研究分担者 |
古屋仲 秀樹 京都大学, 物質-細胞統合システム拠点, 特定拠点准教授 (40248620)
藤森 淳 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (10209108)
椋田 秀和 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 准教授 (90323633)
永長 直人 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (60164406)
川上 隆輝 日本大学, 理工学部, 講師 (20366561)
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キーワード | 強相関電子系 / 合成化学 / 磁性 / 超電導材料・素子 / 物性実験 / 物性理論 / 誘電体物性 |
研究概要 |
1. 本年度から表面化学反応の開拓を開始したが、ラムスデライト型二酸化マンガンのナノ粒子が、可視光の下で水を分解して二酸化炭素を有機物に変換する人工光合成触媒として機能することに気付いた。粒子表面に水由来の電子とプロトンを活性の高いかたちで含み得ることが大切な機構要因であると推定している。2.多量に含まれる酸素ホールが非局在-局在転移を起こすLa1/3Sr2/3FeO3について、思いがけない転移の進行過程を見出した。SrTiO3(111)基板上の薄膜について共鳴X線散乱の測定を行ったところ、転移温度直下で、先ずは(111)面内の強い2次元的相関が発達することを見出した。すなわち、転移の初期段階で、2次元的に広がった酸素ホールが両側のFe面のスピンを揃えた状態が生まれることが分った。3.Nature誌に初合成を報告した無限層構造SrFeO2について高圧下でのメスバウア効果と電気抵抗の測定を行い,約33GPaで反強磁性絶縁体高スピン状態(S=2)から強磁性金属中間スピン状態(S=1)にスピン転移することを明らかにした。4.5枚の平坦なCuO2面を含むHgBa2Ca4Cu50yなどついてNMRの測定から電子相図を確定した。これまで信じられてきたものとは異なり、17%もの高いキャリア濃度まで反強磁性金属状態と超伝導状態が共存するという、高温超伝導の機構に関する謎の解明に資する大きな手がかりを得た。5.遷移金属酸化物において、スピンフラストレーションによって誘起される非自明なスピン構造・ゆらぎと、その誘電性との関係を理論的に調べた。まず、低次元スパイラル磁性体におけるスピンの量子揺らぎをSchwinger boson法を用いて解析し、量子揺らぎによるスピンの大きさの縮みがcollinearのスピン構造をもたらすことを見出した。また、3角格子上のフラストレートしたスピン系については、種々のカイラル相の存在を明らかにした。さらに、高温超伝導体の光学スペクトルをポーラロン形成の立場から解析し、実験と良く合致する結果を得た。
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