研究課題/領域番号 |
17105003
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
成田 吉徳 九州大学, 先導物質化学研究所, 主幹教授 (00108979)
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研究分担者 |
谷 文都 九州大学, 先導物質化学研究所, 准教授 (80281195)
太田 雄大 九州大学, 先導物質化学研究所, 特任助教 (70509950)
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キーワード | 酵素反応 / モデル化 / 酸素活性化 / 酸素発生 / 水 |
研究概要 |
酸素分子の活性化および水の触媒的酸化を高効率で進めるための分子触媒創製とその反応最適化に向けて以下の成果を挙げた。 1. ヘム含有酵素に共通した酸素活性化の共通の間体の溶液中での合成に成功:酸素の水への還元酵素(チトクロムc酸化酵素)の他、多数のヘム含有酵素の酵素活性化反応における共通中間体である(ヒドロ)ペルオキシ鉄(III)体(Compound 0)を最小ユニットを組み合わせた化学モデルを用いて溶液中での選択的合成とESR,共鳴ラマン分光法により同定に成功した。また、プロトン共役電子移動系を用いたヘム酸素付加体からのCompound 0の合成や、鉄(II)錯体とスーパーオキシイオンから生成する高スピンside-on型ペルオキシ鉄(III)体へのプロトン化により低スピンend-on型ペルオキシ鉄(III)体への変換など、いずれも世界初の成果を挙げた。 2. チトクロムc酸化酵素における酵素還元機構の解明:1において合成に成功した方法をチトクロムc酸化酵素活性部位、完全化学モデルへ適用し、酸素活性化中間体[ペルオキシ鉄(III)体]の生成とプロトン源の添加による0-0結合解裂に成功した。 3. マンガンポルフィリン二量体を化学修飾した電極による高効率水分解/酸素発生:既にマンガン間距離を適切に保持したポルフィリン二量体について、その高原子価状態作り出すことに成功し、その構造を同定した。本年は迅速な陽極酸化を行うために、導電性電極表面へ化学修飾による各種マンガンポルフィリン二量体の修飾固定した電極を用いて、広い範囲のpH領域で触媒的な水の電解を行った結果、低い過電圧および高い触媒回転数で水分解と酵素発生を行えることを実証した。この値はこれまで報告されているマンガン、ルテニウム錯体を超えるものであり、人工的水の酸化触媒や人工光合成系への適用に耐えるものである事が分かった。
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