研究課題/領域番号 |
17105004
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
長谷川 博一 京都大学, 工学研究科, 教授 (60127123)
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研究分担者 |
竹中 幹人 京都大学, 工学研究科, 講師 (30222102)
西条 賢次 京都大学, 工学研究科, 助教 (60115847)
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キーワード | 電子線トモグラフィー / ブロック共重合体 / ミクロ相分離構造 / Fddd構造 / 粒界構造 / 共連続構造 |
研究概要 |
1.我々はポリスチレン-ポリイソプレン(PS-b-PI)ジブロック共重合体単体においてFddd構造という斜方晶系の単位胞とFddd空間群の対称性を持つ共連続シングルネットワーク構造が弱偏斥下で熱平衡構造として存在することを世界で初めて発見しているが、この構造の相境界(PI相の体積分率0.629~0.649)を精密に決定した。また、相転移に伴って生じる粒界構造を調べるため、この組成範囲でラメラ-Fddd転移を起こす試料を用い、あらかじめせん断変形を加えることにより面配向させたラメラからFdddに転移させた結果生成するFddd構造について解析した。その結果ラメラ面がFddd構造の(110)面と一致するように転移が起こることが判明した。これは、転移がブロック鎖の移動量が最小となるような機構で起こること意味する。また面内では自由な回転が可能であるものの、面配向ラメラから得られるFddd構造のグレインサイズはランダム配向したラメラから得られるものより格段に大きいことが分かった。 2.欠陥を意図的に導入し、それによりミクロ相分離構造を制御するモデルケースとして、ポリスチレン-ポリイソプレン-ポリジメチルシロキサン(PS-b-PI-b-PDMS)3成分トリブロック共重合体を用いて研究した。これをPDMS成分に貧溶媒であるような選択溶媒(トルエン)を用いてキャストすると、溶液の濃度の増加とともにまずPDMS成分が凝集して規則的に配列するが、これは空間的に規則的に配列した欠陥と見なすことができる。この欠陥の存在下、拘束空間内においてPSとPIがミクロ相分離する。この手法により生成した構造を電子線トモグラフィーにより観察することによって、これまで知られていなかった複数の新規共連続ダブルネットワーク構造が発見できた。
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