研究課題/領域番号 |
17105006
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
宮下 徳治 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授 (40124630)
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研究分担者 |
三ツ石 方也 東北大学, 多元物質科学研究所, 助教授 (70333903)
渡辺 明 東北大学, 多元物質科学研究所, 助教授 (40182901)
KIM Yeji 東北大学, 多元物質科学研究所, 講師 (10431470)
松井 淳 東北大学, 多元物質科学研究所, 助手 (50361184)
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キーワード | ナノ材料 / 超薄膜 / 表面・界面特性 / 光物性 / 先端機能デバイス |
研究概要 |
本研究は、高分子ナノシートを基盤として、様々なナノ材料を集積組織化することで新規なハイブリッドナノ組織体の構築とそのナノデバイスへの応用を目的とする。本年度は主に有機無機ハイブリッド材料の構築とそのデバイスへの応用について検討を行った。 1.金属ナノ粒子一酸素応答性高分子ナノシートハイブリッド集積体の構築 りん光色素を含有する酸素応答性高分子超薄膜の作製と超薄膜中の色素の効率的な励起法として金属ナノ粒子の局在表面プラズモン共鳴現象の利用を試みた。銀ナノ粒子配列制御用テンプレートとしてアミノ基を有する高分子ナノシートを、酸素応答性高分子ナノシートとして白金ポルフィリン錯体(PtTPP)を有するp(DDA/PtTPP)ナノシートを作製し、銀ナノ粒子とPtTPPをナノスケールで複合化したハイブリッド集積体を作製した。白金ポルフィリン錯体の酸素に対する光学的応答へ与える銀ナノ粒子の局在プラズモン共鳴の影響を検討したところ、銀ナノ粒子との複合化による発光強度の増加と酸素センシング能の低下を確認した。しかしながら、白金ポルフィリン錯体/銀ナノ粒子ハイブリッド集積体ではI_0/I_<100>=22という高い酸素に対する感度を保持しており、発光強度も酸素濃度0%において4.6倍の増加が得られた。この高い酸素センシング能と発光強度により、発光層の厚みがナノレベルの超薄膜でありながら固体表面の酸素濃度分布を明瞭に示す発光像の取得に成功した。 2.高分子ナノシートを用いた自己支持性ナノ薄膜の作製 本研究では支持基板を必要としない自己支持性高分子ナノ薄膜の作製を検討した。シリコン基板に溶解層としてセルロースアセテート膜を構築後、pDDAナノシートを所定層累積し、アセトンに浸漬し自己支持性pDDAナノ薄膜を剥離した。その結果、膜厚が3.4nm、大きさ100μm四方におよぶ生体膜と同じ2層構造をした膜の構築に成功した。また表面の凹凸は2層から1000層近くにおいても1nm程度と非常に平滑であり、いずれの層数(膜厚がナノからマイクロオーダーに相当)においてもこの膜は1.7nmというナノスケールの周期構造を維持していた。この安定性・平滑性を利用し、生体膜だけでなくシャボン膜を模倣することにも成功し、自己支持性pDDAナノ薄膜のもつ多様性が示された。さらには金ナノ粒子とのハイブリッッド化にも着手し、界面場におけるナノフィラーの寄与について明らかにした。これらの研究成果は次世代ソフトナノマテリアル創製に向けての有用な基盤技術となりうるものである。
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