研究概要 |
本研究は,2次元・3次元ナノスケール構造を人為的に形成した磁性構造体を形成し,そのスピン依存線形・非線形光学特性を総合的に解明することで,スピン制御可能な新たな光材料の創製と,そのマイクロ光磁気デバイスへの基礎的性質を探求しようとするものである.以下にH20年度の成果の概略を述べる. 1.2次元磁性フォトニック結晶:電子線リソグラフィによって石英基板上にフォトレジストの線状1次元周期パターンを作製し,その上にSiO_2と磁性ガーネット(Bi:YIG)を7対積層することで,断面が波状の構造体を作製した.この試料では,積層構造の1次元磁性フォトニック結晶のフォトニックバンドギャップ(PBG)よりも,短波長側に新たに構造に起因したPBGが現れ,そこでファラデー回転角を4倍増大させることができた. 2.3次元磁性フォトニック結晶:シリカ球のオパールテンプレートの上にイオンビームスパッタ法でBi:YIGを成膜することで,シリカ球の上にキャップ状に堆積する構造を作製した.この構造では,Bi:YIG単層膜よりも4倍増大した極カー回転角が得られた. 3.プラズモニック磁気光学材料:Au粒子とBi:YIG複合膜の形成では,これまでのAu粒子を1回の薄膜加熱で形成する方法を改善し,処理を繰返してAu粒子を形成する方法を用いた.5nmのAu薄膜を1000℃加熱する処理を5回繰返すことによって,粒子の密度を高めることができた.この試料では,ファラデー回転角を0.94°まで増大させることができた(Bi:YIG単層膜の15倍増大). 4.1次元マグニック結晶:YIG基板の上に線幅300nmのCu線を周期400nmで10個配列した構造を作製することによって,GHz帯において,スピン波バンドギャップを形成させ,さらに欠陥を設けることによって,局在モードを発現させることができた.
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