研究分担者 |
石川 忠晴 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 教授 (50159696)
岡本 峰雄 東京海洋大学, 海洋科学部, 助教授 (70345403)
酒井 一人 琉球大学, 農学部, 助教授 (10253949)
大澤 和敏 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助手 (30376941)
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研究概要 |
平成17年度では,農地における土砂・栄養塩流出抑制対策試験,流域における土砂・栄養塩動態の現地観測,そして沿岸域における水質・底質調査を中心に実施し,以下の成果が得られた. 農地などの負荷発生源における土砂・栄養塩流出抑制対策手法を体系的に把握するため,石垣島試験農場において,サトウキビの減耕起植え付け栽培による赤土流出抑制対策効果,カバークロップによる対策効果,そしてサトウキビ栽培におけるカボチャの間作による対策効果などの試験を行い,各対策効果を定量化した.その結果,サトウキビの春植え栽培に対する対策方法として,減耕起植え付け対策とカバークロップ対策の組み合わせが有効であり,土砂流出削減率は72%であった.また,サトウキビの夏植え栽培に対する対策方法として,カボチャの間作による対策が有効であり,削減率は95%となった. 河川においては,石垣島名蔵川流域において多点同時観測を行い,流域内における土砂・栄養塩動態を把握した.2005年5月〜2006年2月までの河口からのSS通過量は1093tであった.降雨時のSS通過量は,平水時の通過量の100倍程度であったのに対し,栄養塩(窒素,リン)の通過量は10倍程度であった. 石垣島名蔵川沿岸域の名蔵湾にて地形測量,サンゴの生息分布調査を実施した.また,1ヶ月に1度程度の定期調査を実施し,湾内における水質および底質の分布を明らかにした.その結果,土砂の堆積状況に関しては,サンゴの生育に悪影響を及ぼす場所が湾の北部であることが特定できた.また,全窒素濃度は既往の研究でサンゴの生育に影響を及ぼす下限値と言われている0.1mg/Lを上回る濃度が多くの地点において検出された.数値シミュレーションによる検討の結果,名蔵湾のような半閉鎖性の沿岸域では赤土堆積よりもむしろ湾内が富栄養化することによって,サンゴ礁の生息環境が悪化している可能性が高いことがわかった.
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