研究概要 |
前年度までに金属ナノ粒子の酸化反応によって酸化物ナノ中空粒子が形成する現象を見出した。今年度は、酸化物ナノ中空粒子を還元および酸化雰囲気でアニールした場合の中空構造の熱的安定性を調査し,中空粒子の収縮が起こる条件を明らかにした.また,新たなロータス型ポーラス金属の作製プロセスを確立した. 1.酸化物ナノ中空粒子の真空アニールによる収縮 Cu_2OおよびNiO中空粒子をTEM中の高真空下(5×10^<-5>Pa)で加熱し、形態変化をその場観察した。Cu_2Oは200℃付近で,NiOは350℃で金属に還元される反応が始まった。還元反応が始まる温度で,中空粒子が収縮する様子が観察された。還元反応の進行に伴って中空粒子の収縮は進行し,最終的にナノ孔は消滅して,元の中実な金属粒子へと戻ることが明らかとなった。金属ナノ粒子の酸化と還元を繰り返すと,形態および結晶構造は可逆的に変化することがわかった. 2.酸化物ナノ中空粒子の高温酸化による収縮 酸化雰囲気においては,Cu_2OおよびNiO中空粒子の収縮は,それぞれ400℃および650℃で観察された.これらの温度における両酸化物中の拡散の遅い成分の拡散係数は,いずれも10^<-22>m^2s^<-1>程度であった.これより,酸化雰囲気での中空粒子の収縮は,遅い成分の拡散に律速され,その拡散係数は10^<-22>m^2s^<-1>程度であると結論づけられ,中空構造の維持・消滅の条件が見出された. 3.化合物粉末を用いた新しいロータス型ポーラス金属の作製プロセスの解明 従来の高圧ガス法に代わって,化合物粉末の熱分解反応によって解離したガスを利用したロータス型ポーラス金属の作製手法を開発し,気孔形成メカニズムを明らかにした.
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